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《ニュースを追って》ブランド閉店〝転換期〟 水戸の京成百貨店 誘致・改装 幅広い世代向けへ 茨城

京成百貨店の「ルイ・ヴィトン」の跡地。2024年12月に閉店して以降は白い仕切りで覆われている=水戸市泉町
京成百貨店の「ルイ・ヴィトン」の跡地。2024年12月に閉店して以降は白い仕切りで覆われている=水戸市泉町


茨城県水戸市の中心地にある京成百貨店が今、転換期を迎えている。2024年末に高級ブランド「ルイ・ヴィトン」が閉店し、25年6月にはジュエリーブランド「ティファニー」の閉店も決まっている。百貨店を代表する店舗の閉店が続く中、新たなブランド誘致や大規模リニューアルを進め、より幅広い世代に向けた店づくりへと動き出している。

■売り上げに影響

両ブランドは06年、同百貨店が現在の場所に移った際に「特選ブランド」としてオープン。2店舗を合わせた売り場面積は1階フロアの約4分の1を占め、百貨店を代表する店舗として営業してきた。

24年12月、契約満了を理由にルイ・ヴィトンが閉店。続いて同じグループ傘下のティファニーも6月末での閉店を発表した。

同百貨店によると、ルイ・ヴィトン閉店後の百貨店全体の売上高は、1月が前年同月比9.3%減、2月が同2.4%減だった。

ルイ・ヴィトンについては、全国の地方百貨店でも閉店が相次ぐ。23年にうすい百貨店(福島県)と遠鉄百貨店(静岡県)、24年には柏高島屋(千葉県)から撤退した。茨城新聞はルイ・ヴィトンに対し、京成百貨店からの撤退理由、出退店の判断基準などを問い合わせたが、案内できる情報はないとの回答だった。

■都市部には恩恵

百貨店を巡っては、ここ15年間で全体の売上高が次第に減る中、活況が都市部に集中してきた。日本百貨店協会のまとめによると、24年12月の全国百貨店の売上高総額は6616億円余り。構成比は札幌や東京、大阪など主要の全国10都市が77.6%を占めた。08年12月は売上高が7947億円余りで、10都市の構成比は64.1%だった。

ルイ・ヴィトンなどのハイブランドは中国人をはじめとしたインバウンド(訪日客)への売れ行きが好調で、都市部などが恩恵を受けられる。2月の全国百貨店の免税総売上高は前年同月比14.5%増の約538億円で、購買客数は同29.0%増の約54万1千人。国別では中国や台湾、香港が多かった。

一方、都市部と比べてインバウンド需要が低い地方百貨店では、各地域のニーズを捉えた店づくりが鍵となる。京成百貨店経営統括室の川崎修部長(54)は「(テナント誘致は)地域の方々にご愛顧いただけるかが大切」と話す。

■注目集める後継

ハイブランドが構えてきた「百貨店の顔」とも言われる場所の後継にも、注目が集まる。

同百貨店は現在、ファッション感度を保ちつつ、よりカジュアルで全館への買い回り効果が期待できる「インターナショナルブランド」と交渉を進めているという。今秋-冬にかけ、複数ブランドのオープンを目指す。

さらに25年から3カ年で、大規模リニューアルも進める。若者が気軽に利用できるブランドを入れるなどして、より幅広い世代の利用を促す。

川崎部長は「これまでのお客さまへの新たな提案や次世代の受け皿となる店づくりをしていきたい」と話している。



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