春季賃上げ、企業65% 茨城県内企業 人手確保要因に 常陽産研調査
常陽産業研究所がまとめた茨城県内企業の今年の春季賃上げに関する調査によると、賃上げを実施するとした企業は65.0%で、前年から1.3ポイント低下したものの2023年から3年連続で6割を超える高水準になった。賃上げ実施理由は全産業で「従業員のモチベーション維持・向上」が最多だった。同研究所は人手確保を要因とした賃上げを行う動きが見られるとしている。
内訳は「定昇ベアともに実施する」が33.3%と最も多く、次いで「定昇は実施し、ベアは実施しない」が23.0%、「未定」が21.9%、「定昇・ベアともに実施しない」が12.6%となった。
賃上げを実施する企業の業種別は製造業が68.8%、非製造業が62.1%。企業規模別では30人未満が約5割、30人以上は約7割となった。業種や企業規模を問わず、幅広い企業が実施に前向きな姿勢を示した。賃上げの中身は定昇が56.3%、基本給を底上げするベースアップ(ベア)が42.0%と前年からほぼ横ばいとなった。ベアの実施率は2年連続で4割を超えた。
企業の賃上げ実施は「防衛的賃上げ」や地域の賃上げ機運の高まりが背景にある。実施理由(複数回答)は、全産業で「従業員のモチベーションの維持・向上」が82.9%と最も多く、次いで「従業員の離職防止」が60.7%、「従業員の生活の質(QOL)の維持・向上」が42.7%と続いた。ベアを実施予定の企業からは物価高による従業員の生活を意識した対応との声が多く聞かれた。
今後の賃上げ動向について、同研究所は「各企業の支払い能力がどこまで維持されるかに懸かっている。適正な価格転嫁を図っていくことが求められる」と指摘。米トランプ政権による相互関税政策により、賃上げの動向に変化が生じる可能性があるとした。
調査は3月2~28日に実施され、183社から回答を得た。