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有機農業、先進県目指す 茨城県 クリ、そば、かんしょに重点

有機農業の普及拡大へ茨城県が重点を置くクリ、そば、かんしょ(写真上から、いずれも県提供)
有機農業の普及拡大へ茨城県が重点を置くクリ、そば、かんしょ(写真上から、いずれも県提供)


茨城県は2025年度、化学肥料や農薬に頼らない有機農業のさらなる普及拡大に乗り出す。栽培面積が広く安定供給が見込める「クリ」「そば」「かんしょ」の3品目に重点を置き、生産方法など国の基準をクリアした「有機JAS認証」を受けた農地を広げ、有機農業に取り組む生産者を増やす。「オーガニック先進県」を目指し、将来的にはスーパーや飲食店などと連携し、茨城県や首都圏への販売を後押ししていく。

有機農業推進法では、有機農業を基本的に化学肥料や農薬、遺伝子組み換え技術を使わず、環境負荷をできる限り低減した生産方法と定義。有機食品のJAS規格に適合した生産が行われていると認証された事業者のみが有機JASマークを貼ることができる。

農林水産省のまとめによると、県内で有機JAS認証を取得した農地は14年に262ヘクタールだったが、23年には約1.3倍の349ヘクタールまで拡大した。現在栽培されている有機農産物はホウレンソウやコマツナなど葉物野菜が多いが、県農業技術課有機農業・気候変動対策推進室によると、これをさらに27年度に560ヘクタールまで広げる目標を掲げる。

このため本年度から、対象農産物として茨城県特産品の代表格であるクリとそば、かんしょの3品目に重点を置く。同課によると、クリの栽培面積は3050ヘクタールと全国1位を誇るが、うち有機JAS認証面積はゼロ。そばとかんしょはそれぞれ1%にも満たない。今後は地域を選び、認証面積と作り手を増やしたい考え。クリは県央と県南、そばは県北、かんしょは県央を中心とした県内全域を想定している。

また、有機農業に取り組む生産者支援に向け、栽培技術などを教える県農業改良普及センター職員やJA営農指導員の育成に引き続き力を注ぐ。技術指導について同室は「どの地域でも(教える人が)複数人いる体制にしたい」と見据える。

安定生産に向け、県農業総合センター(笠間市)による葉物野菜の研究成果活用や、有機米栽培のマニュアルづくりも推進する。同室の田中有子室長は「従来の葉物野菜と合わせて、茨城の有機農業の裾野を少しずつ広げていきたい」と意気込む。

県は有機農産物についてスーパーやオーガニック専門店、飲食店と連携して販売や認知度向上に努めてきた。県県産品販売課の笹沼太幸技佐は「これまでの取り組みの延長線上の中で、(3品目は)特に力を入れていく」と話した。



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