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公共交通、電子決済広がる 茨城県内のバス、タクシー QRも導入、補助金後押し

クレジットカードのタッチ決済が可能な茨城交通の路線バス=水戸市内(画像の一部を加工しています)
クレジットカードのタッチ決済が可能な茨城交通の路線バス=水戸市内(画像の一部を加工しています)


茨城県内のバス、タクシーにキャッシュレス決済が広がっている。利用客の利便性向上のため、「Suica(スイカ)」などの交通系ICカードに限らず、一般のクレジットカードによるタッチ決済やスマートフォンからのQRコード決済を導入する事業者が増えている。

茨城交通(同県水戸市)の路線バスは、昨年2月に全車両約400台でクレジットやデビット、プリペイドカードのタッチ決済とQRコード決済が可能になった。2015年に導入した同社独自のICカード「いばっピ」を中心に、乗客の約8割が運賃支払いにキャッシュレス決済を使っている。

定期券の購入にもキャッシュレス化が進む。同社によると、「いばっピ」は通学・通勤定期券や65歳以上の乗り放題定期券としての需要が大きい。このため昨年3月から新規購入予約や継続購入をウェブでできるサービスを始めた。その結果、今春は各営業所の窓口で手続きを行う新社会人や新入生らの待ち時間がほとんどなくなった。

クレジットカードによるタッチ決済はインバウンド(訪日客)を見込んで採用した。QRコード決済も大学生や高校生など若者の利用が増えている。同社は「外国の方も含め利用者のために何ができるか、時代の流れに乗り遅れないように考えていきたい」としている。

関東鉄道(同県土浦市)の路線バスは、鉄道との乗り継ぎが円滑にできるよう、全国10種類の交通系ICカードが利用可能だ。国交省によると、22年3月末時点で、全国の主要なバス事業者のうち、キャッシュレス決済を導入するのは約92%に上る。訪日客受け入れのために国が補助金を出すなどして後押ししていることも背景にある。

タクシー業界にもキャッシュレス化の動きが進む。全国ハイヤー・タクシー連合会によると、今年3月末時点で、県内の全車両2156台のうちキャッシュレス決済に対応するのは約87%の1885台。スマホで登録すれば決済までできるタクシー配車アプリが普及したためで、国や県の補助金も追い風になった。

ただ、お年寄りの利用が多い地域では現金決済は根強い。県ハイヤー・タクシー協会によると、キャッシュレス決済を導入する事業者はさらに増える見通しというが、服部透専務理事は「事業者は地域性に合う支払い方法を選んでいる」と説明する。

グリーン交通グループ(水戸市)によると、運賃支払いにキャッシュレス決済を利用する乗客は年々増え、今では半分ほどになったというが、鬼沢正光会長は「現金で払いたい世代もいるので、利用はこのあたりで頭打ちだろう」と見ている。



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