茨城弁舞台 東京で上演 30日から 石黒さん(茨城・那珂出身)脚本

茨城県那珂市出身の劇作家、石黒麻衣さん(45)が主宰する「劇団普通」が30日~6月8日、三鷹市芸術文化センター(東京都)で全編茨城弁の舞台「秘密」を上演する。同作は石黒さんが脚本、演出を兼ねた作品で、民間劇場が主催する「佐藤佐吉賞」で最優秀脚本賞などを受賞した。チケットは同センター公式サイトやチケットぴあなどで販売中。
同作はコロナ禍で突然、母親が入院して生活に変化が起きた家族と、それをきっかけに浮かび上がる近隣の人々の暮らしを描く。同劇団は「地方の何の変哲もない小さな家庭を舞台に、そこに生活する人の埋もれそうな小さな声を聞く」と説明する。
同作は若手劇団を支援する民間劇場「インディペンデントシアターOji(旧・王子小劇場)」が主催する「佐藤佐吉賞2022」で最優秀脚本賞、最優秀主演俳優賞(安川まり氏)、優秀作品賞を受賞した。初演から3年がたち、今回は新たな出演者も迎える。
アフタートークも開催。31日午後6時半の上演後は劇作家の岩松了氏と、劇作家で映画監督の山内ケンジ氏をゲストに迎える。
石黒さんはコロナ禍について「普段過ごしている日常がいかに頼りなく不確かで、はかないものの上に成り立っていたかを感じた」と回顧する。「薄れつつある記憶と、確かにそこにあった市井の人々の生活を丁寧に思い返し記録する気持ちで、この作品と向き合いたい」と意気込み、来場を呼びかけた。
同劇団は2013年設立。家族や友人の日常生活を題材とし、独自の会話の間と身体性により緊張感を醸す「態度劇」(同劇団)を試みる。近年は主に、全編茨城弁の作品を上演する。公演の詳細やチケット購入は同劇団の公式サイトhttp://gekidan-futsu.com/