干し芋残渣で養殖 ひたちなか・精密部品製造会社 はるか海老、25日デビュー 甘み強く、高級特産品に 茨城


茨城県ひたちなか市津田東の精密部品製造「エムテック」が養殖したエビ「はるか海老(えび)」が25日、同市内のイベントで初めて披露される。通常の餌に加え、同市産の干し芋残渣(ざんさ)が原料の餌も与え飼育し、甘みが強いのが特徴だ。早ければ6月にも初出荷の見込み。高級な特産品として、地域活性化に貢献したい考えだ。
同社は1949年創業。医療機器や産業用機器などの精密部品を幅広く手がけている。少子高齢化などによる製造業の規模縮小を見据え、新規事業を検討。2023年からクルマエビ科のシロアシエビ(バナメイエビ)の陸上養殖に乗り出した。松木徹社長(48)は「趣味で育てるニシキゴイの飼育方法を生かせたのが大きい」と振り返る。
昨年、本格的な事業化に向けて同社敷地内に約5千万円を投資し「養殖プラント」を建設した。現在は、全長8~10センチのエビ約1万匹を育成している。
同社は餌の一つとして、サツマイモの品種「紅はるか」の残渣を粒状にした餌を使っている。同社が試験飼育したシロアシエビを県産業技術イノベーションセンター(茨城県茨城町)に持ち込み、甘みに関係するアミノ酸含有量を分析してもらったところ、市販品より約2倍も値が高かったという。松木社長は「通常より甘い」と自信を見せる。
商品名は「はるか海老」。餌の紅はるかを由来とし、今年3月に商標登録した。「付加価値を付けて、高級路線で販売していきたい」(同社)。
将来的には、生産仲間を増やし、はるか海老を共通アイテムとして地域を盛り上げたい考え。同社は今後、水温や水質などの蓄積したデータを活用し、飼育方法の伝授も行っていきたいとしている。松木社長は「養殖は、物づくりの品質管理と似ている。技術者向き」と強調する。
同社は25日、ひたちなか市の親水性中央公園で実施するイベント「熱気球フライト」の会場で、約200食の無料試食提供を行う(雨天時は6月1日に延期)。松木社長は「(シロアシエビは)冷凍輸入が9割を占める。(はるか海老で)安心と、おいしさを届けたい」と力を込めた。