《いばらき戦後80年》遺骨収容 27年度めど ペリリュー島 水戸二連隊遺族ら期待

太平洋戦争の激戦地パラオ・ペリリュー島で見つかった日本人戦没者の集団埋葬地を巡り、厚生労働省は8日までに、遺骨収容を2027年度までにおおむね完了させることを明らかにした。日本、パラオ両政府が収集加速に協力することで合意した。同島は1944年9~11月、日米両軍による激戦があり、茨城県水戸市で編成された陸軍歩兵第二連隊(水戸二連隊)を主力とする日本軍守備隊が玉砕した。遺族らからは、遺骨の早期収容に期待する声が上がった。
厚労省によると、福岡資麿厚労相が今月4~6日、パラオを訪問。5日に同国政府のメトゥール人的資源・文化・観光・開発相と会談し、収集加速に向け協力を要請した。メトゥール氏は毎月実施できる受け入れ体制の整備など最大限の協力を表明した。これを受け、厚労省は遺骨収容をおおむね完了させる時期を2027年度に定めた。
厚労省は昨年9月、集団埋葬地を特定。米国資料によると、1086柱が埋葬されていることなどから、遺骨収集に関する本年度予算を9300万円に倍増させた。本年度は今月12~27日の現地派遣を皮切りに5回の収集を予定する。来年度以降は毎月作業できるよう、さらに体制を強化。同省の担当者は「遺骨収集を加速化させるための取り組みを具体化し、実行していく」と述べた。
同島で遺骨収集を行う「水戸二連隊ペリリュー島慰霊会」の影山幸雄会長(80)は「国同士の合意は進歩であり、大変ありがたい。遺骨収集の体制や段取りを抜本的に見直し、収容を加速化させてほしい」と期待した。
厚労省によると、同島の激戦で日本側の戦没者は約1万200人。「水戸歩兵第二聯隊史」によると、水戸二連隊では県内の1980人を含む3317人が戦死した。遺骨収集は1952年度から行われ、昨年9月末時点で7799柱を収容。約2400柱は収容できていない。
集団埋葬地は、同慰霊会が入手した情報が端緒となり特定された。これまでに19柱相当の遺骨を確認している。
厚労省によると、過去には硫黄島(東京都小笠原村)で特定された集団埋葬地から、1年間で約820柱が見つかった例がある。