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人間国宝・大西さん回顧展開幕 漆器や愛用道具60点 茨城・筑西 

大西勲さんの作品「曲輪造八角足付盛器」(手前)などを眺める大西さんの妻かをるさん(同)と長女の未穂さん=筑西市大塚
大西勲さんの作品「曲輪造八角足付盛器」(手前)などを眺める大西さんの妻かをるさん(同)と長女の未穂さん=筑西市大塚


2024年5月に79歳で亡くなった茨城県筑西市の漆芸家で重要無形文化財保持者(人間国宝)の大西勲さんの一周忌に合わせた回顧展が10日、同市大塚の廣澤美術館で開幕した。日本伝統工芸展に出品された漆器をはじめ、大西さんの愛用した道具や少年時代に作った木製飛行機の模型など約60点がそろう。6月1日まで。

大西さんは、装飾を施さず漆を塗ることだけで仕上げる「髹漆(きゅうしつ)」の人間国宝に認定された。ヒノキの板を薄く削り、直径が異なる円形の「曲輪」を作って組み上げる「曲輪造(まげわづくり)」を用いたことでも知られる。

今回は大西さんの妻で鎌倉彫を手がけるかをるさん(78)と、長女で漆芸家の未穂さん(47)が展示に協力した。

2012~21年の日本伝統工芸展に出品された漆器は同美術館が所蔵し、盛器や足付鉢など10点がずらりと並ぶ。来場した学習院大の荒川正明教授(美術史)は「作りも技術も超一流。生活に使うということも考えていた」と説明する。

このうち「曲輪造八角足付盛器(まげわづくりはちかくあしつきもりき)」は、曲輪の一部をカットして八角形に仕上げた力作。未穂さんは「晩年は丸くないものに挑戦していた。本当に大変で、命を削って作った」と話す。

このほか、大西さん愛用のかんなや竹へらといった道具、曲輪の木地や漆の試し塗りの資料、未穂さんとかをるさんの作品などがそろう。かをるさんは大西さんについて「試行錯誤しながら仕上げていった精密な仕事を見てほしい」と話した。

入場無料。廣澤美術館は回顧展終了後、常設展示室に切り替える。



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