下水道管 耐震化43% 茨城県、30年かけ完了へ

茨城県内の下水道管の耐震化率が約43%にとどまることが12日までに、県への取材で分かった。居住地面積が広く、耐震化が必要な下水道管の延長距離が長いことが主な要因。県は1月に策定した耐震化計画に基づき、今後30年間かけて耐震化率100%を目指す。老朽化対策と合わせて「下水道管や処理場など重要施設の耐震化推進に全力を挙げる」としている。
県下水道課によると、下水道管には家庭や工場などから出た汚水を下水処理場に直接または途中まで送る「単独公共下水道」と、途中から処理場まで送る「流域下水道」の二つがある。単独公共下水道は市町村や広域下水道組合が管理し、流域下水道は県が管理している。
茨城な揚水、沈殿、消毒の各設備が全て耐震化されたのは12カ所。県管理の施設は8市町村に各1カ所あるが、耐震化済みは1カ所のみにとどまる。
国は1995年の阪神淡路大震災を受けて全国に下水道の耐震強化を通達。98年4月以降、大規模地震や液状化への対策が必要となった。これに対し、県が管理する流域下水道の下水道管は6割が同震災前に設置されたたもので、老朽化も進んでいる。
同課は対応が遅れている理由として「県内は集落が点在する地域が多い。他県と比べて主要な下水道管の延長距離も長い」と説明。資材費高騰の影響もあるとして「耐震化にはコストも時間もかかる」とする。
県は今年1月、能登半島地震を踏まえた国の方針を受け、上下水道の耐震化推進計画を策定した。流域下水道については今後30年間かけ、下水道管や下水処理場を含む重要施設の耐震化完了を目指す。
本年度からの5年間は、現状の約36%から40%まで引き上げることを目標に、マンホールと下水道管の接続部分が外れにくい構造の管に交換するなどの対策を進める。
同課の担当者は、災害時の断水は多くの人の避難生活に影響が出ることから、「上下水道の耐震化は喫緊の課題。目標達成に向けて全力で取り組む」と意気込みを示した。