《リポート2025》土浦市、アニメコラボ続々 「パトレイバー」の聖地 グッズ販売、市内回遊策も 茨城

ロボット犯罪の頻発する世界で奮闘する日本の警察を描いたアニメ「機動警察パトレイバー」。放映から30年以上たった今も根強い人気を誇る。舞台の一つになった茨城県土浦市は2022年以降、アニメに絡めてまちおこしを図り、登場人物のデザインを施したマンホールの設置や、市内回遊につながるスタンプラリーなど、次々と企画を打ち出している。
▽ファンが列
パトレイバーはアニメや漫画、小説、ゲーム、実写版映画と多岐にわたって展開された。「レイバー」は人型の作業機械で、物語の中で犯罪を取り締まる主人公のパトレイバーに対し、最新の技術を投じたレイバー「グリフォン」がライバルとして登場する。市内の研究所で開発されたとの設定で、ファンの間では同市は「聖地」の一つと位置付けられる。
同市有明町のJR土浦駅構内。4月25日午前10時に自由通路の観光案内所の前に60人を超えるファンが列を作った。お目当ては敵方の登場人物「内海」「黒崎」を図柄にしたマンホールカード。作中で「シャフト・エンタープライズ・ジャパン土浦研究所」に所属し、グリフォンの開発に携わった重要人物だ。
この日、一番乗りでカードを受け取ったのは東京都八王子市の野口茂さん(75)。早朝5時半のバスに乗って駆け付けたという。パトレイバーのファン歴は15年。1時間半並んだが、「好きだから苦に思わない」と笑顔で話した。カードを手に「良いですね。面白いデザイン」と満足そうな表情を見せた。
▽カード第6弾
カードの配布は今回が第6弾。初回配布分に1万枚を用意した。初回分がなくなれば、追加発注も検討する。主人公機の「イングラム1号機」をデザインした第1弾は、3月末現在で1万7000枚以上を配るほどの人気を見せる。
パトレイバーのデザインをあしらったマンホールのふたは全18種類。市役所付近から市立博物館付近を通る国道125号沿いに設置されている。カードの表面にはふたの写真、裏面には登場人物たちの設定や、霞ケ浦や帆引き船の魅力が紹介されている。
土浦市はマンホールカードの配布とともに、展覧会やスタンプラリーといった関連イベントも実施してきた。今回は江戸時代の蔵を改修した「まちかど蔵大徳」や市立博物館などを巡るスタンプラリーを活用し、市内回遊につなげようと狙う。
▽来訪増に意欲
このほか、市役所1階の土産物店とまちかど蔵大徳で限定グッズを販売。主人公の泉野明(いずみのあ)巡査やイングラム1号機などをあしらったゴム製のマンホール型コースター3種類が店頭に並ぶ。
2022年にシリーズ誕生30年突破を祝う展覧会を開いた際には、劇場版作品の絵コンテや原画、ロボットの立像など約150点を展示。県内外から約3000人が来場したという。市広報広聴課の担当者は「今後もパトレイバーとのコラボをアピールして、市内を訪れる人を増やしていきたい」と意欲を見せる。