河川防災拠点整備へ 国交省 茨城・境に 堤防復旧や住民避難 秋にも着手「地元悲願」

茨城県境町塚崎の利根川沿いで計画されている「河川防災ステーション」の整備が本年度から始まる。堤防の復旧や緊急避難の拠点施設で、国土交通省関東地方整備局の利根川上流河川事務所(埼玉県久喜市)によると、夏ごろまでの入札手続きを経て秋にも盛り土工事に着手する。
4月2日に同事務所が概要を発表した2025年度主要事業の一つ。コンクリートブロックや砕石などの建設資材を備蓄し、洪水などで被災した時に堤防の復旧を進めるための拠点となる。ヘリポートや建設機械の搬出入、水防活動に必要な作業スペースなども備え、住民が緊急避難する場所としても活用できる。
整備は市町村などの自治体と河川管理者が連携して進める。境町に建設するステーション計画は茨城県のほか群馬や埼玉、千葉の4県にまたがり、利根上流河川事務所の管内では5カ所目となる。
同町は利根川と江戸川の分岐点に位置し、江戸時代は水運の拠点として栄えた。町が21年に発表した資料によると、利根川が決壊すると町の9割以上が浸水するリスクがあり、町民500人程度が逃げ遅れるとの試算もある。
このため同ステーションの建設は「地元の悲願」(同資料)であり、町防災安全課の担当者は「施設の予定地は特に被害に遭いやすい所で、地元からも緊急的な避難場所が求められていた」と話す。
圏央道に近い利根川左岸の堤防沿いに長さ約600メートル、幅約70メートルにわたって盛り土し、ステーションを建設する。盛り土工事は数年かかり、その後造成工事などを経て、資材置き場やヘリポートなどを整備する。水防活動や防災学習の拠点となる施設についても、同事務所と同町で協議して造る方針だ。