次の記事:JR常磐線のり面に身元不明遺体 茨城・土浦 

大規模災害想定、検視の訓練 茨城県警、遺体引き渡し対応も

遺体に見立てた人形を調べる検視官=16日午後、茨城町上石崎
遺体に見立てた人形を調べる検視官=16日午後、茨城町上石崎


大規模災害が発生し多数の死者が出た場合の検視や遺体引き渡しの対応力を高めようと、茨城県警は16日、同県茨城町上石崎の県警察学校で訓練を実施した。人形を用い、遺体の搬送・安置から検視や検案、身元確認、遺族への対応などをチェックした。県警が検視に関する訓練を公開したのは初めて。捜査1課の佐川善良検視官室長は「一刻も早く遺族にお返しできる体制を整えていきたい」とし、備えの重要性を強調した。

訓練は2011年3月に発生した東日本大震災と同規模の地震や津波が県内で発生し、多数の死者が出た場合を想定。警察官や茨城海保の保安官、医師ら約130人が参加した。

青い袋に入った人形が検視場へ運び込まれると、機動隊員が、受付担当者と発見状況の詳細について情報共有した。遺体の発見場所や発見時に身に着けていた物は、身元を特定する重要な手掛かりになるという。

検視台に乗せられた人形に検視官らが手を合わせ、傷や欠損部を細かく調べて記録。医師と連携して死因を特定した。さらに、歯科医師とともに遺体の歯の特徴や治療跡も確認し、生前のカルテと照合。遺族に対するDNA鑑定も行うなどし、身元を特定した。

遺族対応では、取り乱す遺族や現実を受け入れることができない遺族役に対し、担当者が気持ちに寄り添い、言葉をかけた。遺体の引き渡し時には、取り違えないよう、丁寧に衣服と遺体を確認した。

東日本大震災で検視を担当した捜査1課の後藤秀一総括検視官は、当時の状況を知る県警の警察官が少なくなってきていることを踏まえ「教訓を忘れないためにも、平時の訓練が大事になる」と指摘した。

政府の地震調査委員会によると、県内で今後30年以内に震度6弱以上の地震が起きる可能性は、水戸市で約81%に上る。今後の災害対応について、佐川室長は「一刻も早く身元を特定し、遺族にお返しすることが優先される。災害は予測困難だが、訓練の反省点を検討し、現場の体制を整えていきたい」と語った。



最近の記事

茨城の求人情報