木造23万棟 耐震啓発 旧基準住宅、茨城県が個別に

茨城県は本年度から市町村と連携し、旧耐震基準で建てられた全ての木造住宅を対象に、耐震化や診断を促す個別通知などの啓発を進める。旧耐震基準の木造住宅は、県の推計で約23万棟に上る。2024年元日に発生した能登半島地震では木造住宅の倒壊による被害が目立ったことから、耐震化の周知を図り住宅の安全性向上を目指す。
啓発の対象になるのは、1981年5月以前の旧耐震基準で建てられた県内全ての木造住宅。固定資産税の納税通知書にチラシを同封するほか、郵送や訪問によるポスティングなどを市町村ごとに行う。県が開く体験型の防災イベント「いばらき学ぼうさい」などでも周知を図る。
チラシでは、課税明細書などにより住宅の築年数や構造を確認するよう求めるほか、耐震診断への支援や改修後の減税メニューなどを紹介。立地する市町村の担当課を示した上で、対象の窓口に連絡するよう呼びかけている。
県によると、県内の住宅は2021年度時点で約115万7000棟あり、耐震化率は91.5%。旧耐震基準で建築された23万1千棟のうち、十分な耐震性能が確保されたり、既に耐震改修されたりしているのは推計13万棟。県は旧耐震基準の全木造住宅に周知することで、耐震化を促す考え。
県は耐震診断の補助事業として、国や市町村と共に費用の一部を負担している。補助を活用すれば費用の自己負担は最も多い自治体でも5000円ほどで診断が可能。土浦市や古河市など16市町村は無料化している。
県建築指導課によると、24年度は県内41市町村が補助事業を実施し、診断件数は250件。前年度の2.6倍まで拡大した。本年度はほとんどの市町村が補助事業を実施することから、3200件分を想定した予算を計上、診断を加速させる方針だ。
24年元日に発生した能登半島地震では、多くの木造住宅が全半壊する被害を受けた。家屋倒壊による直接死は200人を超えている。
同課は「住宅の耐震化に対する県民意識は高まっている。さらなる周知に力を入れ、耐震化を一層促していきたい」としている。