「120年に1度」クロチク開花 水戸の民家 茨城


「120年に1度しか咲かない」とも伝えられるクロチク(黒竹)の花が、茨城県水戸市大串町の前野繁さん(72)方の庭で咲いた。花びらはなく、稲穂のような房の先から黄色いおしべが垂れ下がる。庭先で起きたまれな出来事に、前野さんは「自然の神秘はすごい」と声を弾ませる。
市植物公園などによると、クロチクは中国原産のイネ科の竹。地下茎で増え、種子を飛ばさずに繁殖できる。開花サイクルは一般の竹より長く、60~120年に1度とも言われる。同園の担当者は「『120年』は臆測だが、開花は珍しくて貴重な現象」と説明する。昨年から国内で、クロチク以外も竹の開花が相次いで報告されているという。
前野さんが開花に気付いたのは約1週間前。黒い枝の先に見慣れない稲穂状の膨らみができ、おしべが束状に垂れ下がっていた。ホームセンターで購入し、庭に移植して15年という。「今年は新しい枝葉が生えなくて、見慣れないフサフサが出てきた」とクロチクの「異変」を振り返った。
「途方もない開花の周期を律義に全うした。花が咲くと枯れるらしい。最後にお疲れさま」と前野さん。手のひらにそっと花を乗せた。