茨城県内 女性管理職1割 均等法成立40年 家庭と両立課題
職場で男女を平等に扱うことを定めた男女雇用機会均等法が17日、成立から40年を迎えた。茨城県内企業の女性登用の状況は、2024年の女性管理職が平均1割にとどまる。民間調査では、性別にかかわらない評価方法や職場環境の整備が広がる一方、家庭との両立が大きな課題であることが浮かび上がった。男女間の賃金格差も目立ち、誰もが働きやすい環境整備が求められている。
帝国データバンク水戸支店の調査によると、県内企業管理職のうち女性の割合は平均10%。調査開始の14年以降で最高となったが、全国平均の10.9%よりやや低く、茨城県は33位にとどまった。同支店の担当者は「出遅れ感はあるが、増加の流れは続いていくだろう」と見据える。
県内企業では、女性役員の割合も平均15.5%で過去最高。34.2%の企業が、今後のさらなる増加を見込んだ。
女性の活躍推進のための取り組み(複数回答)は、「性別にかかわらず成果で評価」が55.4%を占め、「性別にかかわらず配置・配属」48.4%、「女性の育児・介護休業の促進」33.2%と続いた。
女性管理職が増加しない理由については「家庭と仕事の両立がしにくい」が54.9%に上ったほか、「候補者がいない」37.5%、「昇進を望まない」32.6%などだった。
厚生労働省が女性活躍の優良企業を認定する「えるぼし」は、全国で累計3453社(4月末現在)。茨城県では24年度、建設業や小規模事業者から申請が増えたものの、累計で20社にとどまる。
県内の男女間の賃金格差も課題となっている。茨城労働局によると、都道府県別「男女間賃金格差」で茨城県はワースト2位。男性の賃金を100として算出したところ、女性の賃金は72.1だった。
同法成立40年を巡り、同局の横山ちひろ雇用環境・均等室長は「制度が整い、普通の女性たちがやる気を持って働き続けられる時代になった」としつつ、「働き方を見直し、女性をはじめ誰もが働きやすい環境整備が必要」と指摘した。
★男女雇用機会均等法
雇用管理全般で性別を理由にした差別的取り扱いを禁止する法律。国連の女性差別撤廃条約を日本が批准するに当たり、国内法を整備する観点から1985年に成立した。86年に施行し、定年や解雇での男女差別を禁止。採用や昇進については当初は努力義務にとどめたが、99年の改正法施行で禁止し、企業のセクハラ配慮義務も盛り込んだ。その後も改正を繰り返している。