量子技術活用に意欲 首相、つくば・産総研視察 茨城

石破茂首相は18日、茨城県つくば市梅園の産業技術総合研究所(産総研)を訪れ、原子や電子など極小物質の特殊な性質を利用した次世代計算機「量子コンピューター」の産業利用を目指す研究施設を視察した。視察後、記者団に今年を量子産業化元年と位置付け「世界市場獲得に向けて、国際ルールを作る組織を強化する」と主張。月内に関連会合を日本で初めて開催すると明言し、技術の活用拡大に意欲を示した。
「量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター」では、益一哉センター長から量子コンピューターの部品開発や人材育成から技術のビジネス化までを一元的に担っていると説明を受けた。首相は新興企業の関係者らとの車座対話にも出席した。
同センターは、量子技術とAI(人工知能)の融合による新たな計算技術の社会実装を目指し、2023年に設立。3種類の量子コンピューターや、スーパーコンピューターなどを備える新棟2棟が完成し、同日、同所で落成式を開いた。
石破首相は視察の後、落成式に出席。来賓祝辞で「量子技術はAI・半導体と並んで日本の成長を担う重要な技術分野」とした上で、同センターの設備の重要性を指摘し「政府としても強力に支援していきたい」と述べた。さらに「ここを核として国内外の企業や研究機関と連携し、量子産業を発展、成長させていく。量子のサプライチェーンを構築する場として、発展を強く期待する」と力を込めた。その後、関係者らと共にテープカットを行い、完成を祝った。
首相は、量子コンピューターに関し記者団に「わが国の新しい産業の柱だ。経済安全保障上も重要な技術で、政府として最大限の支援をしたい」と語った。