産総研、研究棟2棟完成 量子技術活用 民間に貸し出しも 茨城・つくば

産業技術総合研究所(茨城県つくば市、産総研)に、量子技術分野の研究拠点「量子・AI融合技術ビジネス開発グローバルセンター」の研究棟2棟が完成した。3種類の次世代計算機「量子コンピューター」や、新たな量子デバイスの開発に必要な装置を備える。研究機関や企業も利用可能で、量子技術の産業化や社会実装につなげる考え。落成式が18日、現地で開かれ、石破茂首相や武藤容治経済産業大臣ら約200人が出席し、量子技術の産業化に向け、新たな門出を祝った。
同センターは、量子技術とAI(人工知能)の融合による新たな計算技術の社会実装を目指し、2023年に設立。約620億円かけて新棟2棟を整備した。装置の調整などを経て、今夏から本格的に企業などへの貸し出しや連携に乗り出す。
量子コンピューターは、量子と呼ばれる極めて小さな物質を利用する。従来のコンピューターよりも超高速で計算できると見込まれ、技術が確立すれば暗号解読や金融分野など幅広い分野での活用が期待される。
完成した研究棟はいずれも鉄筋コンクリート造りで、4階建てと2階建て。
研究棟内に超伝導量子と中性原子量子、光量子の3方式の量子コンピューターをそろえた。またスーパーコンピューターと量子コンピューターをつないだ量子・古典融合計算機も設置した。高度な計算環境を整え、材料や金融、創薬などの分野で量子アプリケーションの開発につなげる。
このほか、新たな超伝導型の量子コンピューター開発に向け、ハードウエアの中核を担う「1000量子ビット用制御装置」や、ハードウエアの冷却を担う「1000量子ビット用希釈冷凍機」を設置し、新技術の試験環境を整えた。
同センターの整備を巡っては、24年度補正予算で約1000億円が追加されており、今後3年間かけて量子コンピューターの開発や施設整備を行う予定。
落成式では、産総研の石村和彦理事長が「世界の企業や研究機関と連携し、量子技術を活用した新たなビジネスの創出を加速したい」とあいさつ。石破首相は、同市に産総研のほか研究機関が集まっていることに触れ、「(つくば市が)地方から世界に羽ばたく、地方から日本を変える産業を生み出す拠点になることを期待する」と述べた。