1~3月 飲酒運転摘発1割増 茨城県警、取り締まり強化

飲酒運転の摘発が増えている。茨城県内では1月1日から3月末までに195件に上り、前年同期比で1割近く増加した。飲酒運転と知りながら同乗して摘発されるケースも2024年を上回るペースで推移している。交通事故は減少傾向にあるものの、県警は「重大事故につながりかねない犯罪」として、取り締まりや啓発を強化している。
県警交通指導課によると、24年1年間の県内での飲酒運転の摘発は842件で、21年に1000件を下回って以降は、ほぼ横ばいで推移している。飲酒運転による交通事故は24年に77件発生し、死者は5人で全国11番目の多さだった。
今年の飲酒運転の摘発は3月末時点で195件で、前年同期の181件を上回る。飲酒運転による事故は前年同期比9件減の13件と減っているが、これまでに結城、筑西両市で計2人が死亡している。昨年は飲酒運転の当事者が死亡する事故や繁華街から郊外へ抜けるルートでの事故などが目立ったという。
飲酒運転と知りながら同乗したとして摘発されたケースは今年4月末時点で20件で、すでに昨年1年間の42件の半分に迫る。
■違反者「少しだけなら」 検問設置、歓楽街で啓発も
16日午後8時過ぎ、同県土浦市桜町の繁華街入り口から約1キロの国道。県警交通指導課や交通機動隊、土浦署が実施した飲酒検問では、開始から10分足らずで簡易のアルコール検知器が1台の車で反応した。
運転者の顔は赤く、車内からは酒のにおい。本検査で、運転者の呼気からは基準値1リットル当たり0.15ミリグラムを超えるアルコール分が検出され、道交法違反で交通切符(赤切符)を交付された。
運転していた50代男性は取材に応じ「少しだけなら大丈夫と思って運転してしまった」と語った。仕事終わりに寄った実家で「暑くなってきたので…」と500ミリリットルの缶ビール1本を飲み、車で15分ほどの自宅に帰る途中だったという。男性は90日間の免許停止処分となった。
検問に先立つ同日夜、県警は歓楽街対策として40人を動員し、同市桜町をパトロールしながら飲酒運転根絶の啓発活動を実施。駐車違反や客引き行為の取り締まりも行った。
同町で人気の居酒屋「うまい家」では、同署や県警交通総務課員らが客に啓発チラシを配るとともに、呼気検査を体験してもらいながら「ビール中瓶1本分のアルコールの分解には約4時間かかる。数杯飲むと翌朝まだ残っている恐れがある」などと呼びかけた。
店側も飲酒運転根絶へ協力し、同店女将(おかみ)の橋本泰子さんは「車で来た方には代行運転の利用をお願いし、帰りは外まで見送るようにしている」と話した。
県警によると、検問は過去に発生した飲酒運転の事故や摘発の結果などを分析した上で場所や時間帯を決めて実施している。飲酒運転は6~7月にかけて増える傾向があり、同署交通課の東直人課長は「潜在的な飲酒運転者もいると想定し、悪質な違反は厳しく取り締まっていく」と話した。