来店者に感謝 コメ1合贈る 「サプライズ」手渡し 茨城・笠間の「うなぎ量深」


コメの価格高騰で圧迫されている家計を助けようと、茨城県笠間市笠間のうなぎ店「うなぎ量深(りょうしん)」の店主、馬場万作さん(52)が先月から、来店者にコメ1合をプレゼントしている。全国各地から訪れる人々に「1合におもてなしと感謝の気持ちを込めている。茨城のおいしいコメを食べてほしい。笠間に来た思い出として残ってくれれば」と願い手渡す。食卓からコメが消えることも危惧し、「あと100キロ分は配布する」と意気込みを語る。
3月下旬、来店者から「おコメがおいしかった。譲ってほしい」と申し出があった。販売はしていなかったため断ったが、手元にあったケースに少しコメを入れて譲った。馬場さんは「地元のコメを喜んでくれた。コメがなくて困っていることも分かった」とプレゼントを始めたきっかけを話す。
同店が使うコメは同県城里町産コシヒカリで、契約農家から直接買い付けている。コメは利用客1人につき1合渡している。赤いキャップのプラスチックケースは1合と2合サイズを用意し、夫婦など2人組の来店者には2合を渡している。
栃木県日光市の鷲頭順子さん(56)は長男の勇弥さん(27)と叔母の佐久間美代子さん(92)とともに同店を訪れた。
食事を終えた3人に、馬場さんは「サプライズ」と言いながらコメが入ったケースを差し出した。遠慮がちに受け取った佐久間さんは「うれしい。ちょっとずつ炊こうかと思う」と喜び、勇弥さんはうれしそうな2人を見ながら「コメをお土産としてくれる店はない」と感謝した。
馬場さんは「たった1合だけど、たくさんの思いを詰めた。渡した時につながる思いや表情は想像以上。今しかできないことをやりたい」と話した。
馬場さんはこれまで、能登半島地震で被災した鮮魚店から寒ブリを購入したり、冷凍うな丼を医療従事者に寄贈したりするなどの支援活動に取り組んできた。