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《広角レンズ》コメ高騰 学校給食に影 茨城県内自治体、無償化に打撃

給食で提供されるご飯。コメ高騰の影響が学校給食にも及んでいる=水戸市内
給食で提供されるご飯。コメ高騰の影響が学校給食にも及んでいる=水戸市内


コメ高騰の影響が茨城県内の学校給食にも及んでいる。値上がり分を補正予算で対応したり、給食費の改定に乗り出したりする自治体もある。給食無償化に取り組む自治体は不足分を公費で負担するなどし、関係者からは悲鳴が漏れる。

近年の食材費の高騰分を補うため、同県つくば市は2023年度から給食費の10%分を上乗せして予算計上。さらに24年度はコメ高騰が追い打ちをかけ、不足分を約2億2000万円の補正予算で対応した。

同市は1日当たり児童生徒約2万2000人に給食を提供。学年に応じて月4100円~4700円の給食費を徴収しているが、保護者負担は据え置き、値上げの予定はないという。

本年度当初予算も価格高騰を見越し、昨年度並みの予算を計上。今後について市健康教育課は「場合によっては補正予算もあるが、価格の動向を見ながら対応を検討したい」と話す。

同県鹿嶋市も昨年度、補正予算で給食費の不足分を穴埋め。国の交付金と一般財源の併用で対応したといい、市の担当者は「コメ高騰は大打撃」と悲鳴を上げる。

■負担増

同県水戸市はJA、炊飯業者の3者で協定を結び、コメの安定供給を続ける。昨年の秋以降、急激にコメの価格が高騰。24年度の価格(精米、加工費など)について、後期(24年11月~25年3月)は前期(24年4~10月)と比べて、約1.6倍にまで膨れ上がった。

25年度前期(25年4~10月)の価格も24年度後期から横ばいで「高止まりしている状態」(市学校保健給食課)という。

同市は中学校の給食無償化に続き、本年度は小学校の完全無償化に乗り出した。本年度、小学校で約8億6000万円、中学校で約4億3000万円の公費負担を見込む。

同課によると、コメや食材の高騰により、食材費を含めた小学生1人当たりの負担額が月6200円と昨年度から500円増えた。中学生も同6400円で同300円増となり、市の負担は大きくなった。

同市内の小学校栄養教諭は「子どもたちのために質と量は何としても維持したい」とし、ご飯の提供回数を維持した上で、限られた予算で仕入れと献立に知恵を絞る。

同県土浦市は本年度、コメ高騰や物価上昇を見込み、予算算出の根拠となる給食費を20年以来5年ぶりに見直した。「コメ高騰は予想をはるかに超えた上昇だった」と同市学校給食センター。本年度当初予算に24年度比で約5200万円増額。同市も給食費を無償化しているため、負担は重くのしかかる。

このほか、同県大洗町は給食費の不足分を補うため学校単位で給付金を支給。給食無償化の全国実施に向けた国の議論を注視する自治体も少なくない。

■最高値

県学校給食会は、JAから給食用のコメを確保し、県内26市町村に供給している。コメ高騰で、新米に切り替わった昨年11月以降の価格が1キロ当たり541円と、昨年10月までの334円から約1.6倍に跳ね上がった。記録が残る1977年以降で価格も上昇幅も過去最高値となった。

同会によると、10月分までのコメは確保済み。秋以降も給食用のコメの優先確保を依頼しているといい、政府備蓄米の活用は検討していない。

一方、値段に関しては全く予測できない状態といい、同会は「8月下旬ごろには、ある程度、見通しが立つと思われる。価格が分かり次第、速やかに情報提供したい」としている。



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