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《広角レンズ》キラキラネーム 読み一定制限 茨城県内自治体 基準に戸惑いも 改正戸籍法26日施行

改正戸籍法関連の事務処理や市民への臨時窓口となる会議室で準備を進める水戸市職員=同市役所
改正戸籍法関連の事務処理や市民への臨時窓口となる会議室で準備を進める水戸市職員=同市役所
法務省が示した主な読み仮名の例
法務省が示した主な読み仮名の例


戸籍の氏名に読み仮名表記を必須とする改正戸籍法が26日、施行される。事務を担う茨城県内の自治体は通知の作成や体制整備など準備を急ぐ。一方、難読な名前、いわゆる「キラキラネーム」の許容範囲について国から指針が示されたものの、判断基準に戸惑いの声も聞かれる。

改正法は、行政のデジタル化に向け、読み仮名を記載して個人データの検索や利活用を容易にすることが狙い。法務省は本人の特定や成り済まし防止にもつながるとしている。

改正法施行後、本籍地がある市区町村は住民票などに記載された読み仮名を全住民に通知。1年以内に修正の届け出がなければ自動的に戸籍に記載される。修正がある場合は自治体窓口やマイナンバーカード所有者の個人向けサイト「マイナポータル」で届け出る。

法務省によると、氏名の読み仮名に関して2月に抽出調査を行ったところ、名前は約2%、姓は0.4%が誤って自治体に登録されている可能性があるという。

■万全

19日朝、同県水戸市役所。改正法施行が迫る中、市民課職員が会議室に机や椅子、間仕切りなどを運び込んだ。会議室で通知の作成など準備を進め、7月下旬からは臨時の市民対応窓口として問い合わせに応じる予定だ。

同課によると、市は7月下旬から8月上旬にかけて順次、読み仮名の記載されたはがきを送付する。通知までに時間を要するのは、5月26日までの住所変更や出生届といった人の移動に関する手続きが終わらない限り、対象者が定まらないためだ。

対応する人員についても市は本年度、正職員と任期付き職員、会計年度職員の計4人を新たに採用し、万全を期す。同課は「万が一、間違っていれば届け出てほしい。間違いがない場合は何もしなくて良いということも周知したい」と話した。

■懸念

名前の読み方は「一般に認められているもの」とし、漢字本来の読み方と異なる「キラキラネーム」に一定の制限を設ける。法務省は、漢字と意味が反対▽読み違いかどうか判然としない▽漢字の意味や読み方からおよそ連想できない-といった読み方は許容しない方針。差別的、反社会的な名前も認めないという。

法務省は既に、判断基準を示す指針を全国の自治体に通知。だが、県内のある市担当者は「示された例があまりに少なすぎる。ある自治体では認められ、別な自治体では認められないといったことになるのではないか」と不安視する。判断に迷う場合、法務局に照会すれば済むものの、「時間も手間もかかる。統一的な判断ができるよう、もっと細かい例が欲しい」と話す。

県行政書士会の古川正美会長は「一般に」の解釈は自治体任せになるとした上で、「明確な線引きは難しい。隣接自治体で判断が割れる可能性は否定できない」と指摘。一方で基準を厳格にしすぎると、名前の多様化や日本の命名文化を損なう恐れがあるとする。

■便乗

改正法関連の通知に便乗した詐欺も懸念される。届け出の際、市町村が手数料などの支払いを求めることはなく、届け出なくても罰則はないという。法務省と警察庁、消費者庁は連名でチラシを作り、詐欺への注意を呼びかけている。

水戸市消費生活センターの田山知賀子センター長は「流れに乗じてだまそうとする人たちがいる。一度振り込んでしまうとお金はほぼ戻ってこない」と指摘。「心配に思ったら最寄りの消費生活センターなどに連絡してほしい」と訴える。



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