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クマ生息、調査を強化 茨城県が「管理計画」策定 注意促し情報収集

茨城県庁=水戸市笠原町
茨城県庁=水戸市笠原町


茨城県は、ツキノワグマの生息状況調査や県民向けの注意喚起を図ろうと、初めて「管理計画」を策定した。継続的なモニタリングに加え、クマの生態や行動を周知することで、県民から提供を受ける情報の精度を上げる。県内の生息確認は近年ないものの、全国で人的被害が相次いでいることから、出没に備えた体制づくりを進める。

県は本年度から5年間の「ツキノワグマ管理計画」を新たに策定した。「恒常的な生息域でない状況を維持し、被害の発生防止」を基本方針に掲げ、生息状況のモニタリング実施▽普及啓発▽人材育成と活用▽警戒監視体制の整備-を主な柱に対応を進める。

モニタリングでは、生息環境や痕跡を継続的に調べるほか、自動撮影カメラなどを使った調査も実施。県ホームページ(HP)やチラシなどを通した目撃情報を広く呼びかける。クマの生態や行動パターンを県民に啓発することで目撃情報の精度を上げるほか、遭遇した場合の対応など注意喚起も図る。

県や市町村の担当職員向けに研修を行い、クマに対する知識を備えた職員の養成も促す。実際に目撃や生息の痕跡が確認された場合には、行政や猟友会などが情報共有する仕組みをつくるほか、見回りや捕獲などを含めた警戒監視体制も構築していく。

県はこれまでも生息調査を行っているが、県内では2016年に常陸太田市と北茨城市で計3件の目撃や養蜂の巣箱被害があって以降、確認されていない。一方、例年1件ほどだった「クマのような姿を見た」との未確認情報は、23年に7件報告されるなど急増している。

クマによる人的被害は、全国で相次ぐ。環境省によると23年度は19道府県の198件で、死者6人を含む219人(速報値)。統計が残る06年以降で最多だった。24年度のクマ類出没情報では、茨城県は0件だったものの、福島県616件、栃木県255件と隣県で多く確認されている。

全国的な被害の増加を受け、国は昨年、絶滅の恐れがある四国のツキノワグマを除き、クマを広域的に管理する「指定管理鳥獣」に追加した。県環境政策課は「隣県では多く生息しており、いつ茨城県で確認されてもおかしくない。系統立てた対応を整え、広く注意を促していきたい」としている。



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