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官民連携で犬猫保護へ 市民団体と茨城・水戸市 チラシ作成、回覧周知

動物愛護に取り組む市民団体「いばらきのシッポの幸せの会」と水戸市動物愛護センターは、ペットの適正飼育などについて協働で周知に乗り出す=同市河和田町
動物愛護に取り組む市民団体「いばらきのシッポの幸せの会」と水戸市動物愛護センターは、ペットの適正飼育などについて協働で周知に乗り出す=同市河和田町


動物愛護に取り組む市民団体が、茨城県水戸市と連携して適切な飼育や保護の仕方の啓発活動に乗り出す。野外で犬猫を見かけた時の連絡先や避妊手術への協力を呼びかけるチラシを作り、町内会の回覧板などを通して周知する。団体メンバーは高齢化もあり、多頭飼育崩壊した住民や地域で増える野良猫トラブルへの対応に疲弊していた。両者は「遺棄される犬や猫を減らし、地域で猫が増え過ぎないようにすることが、人と動物が共生するために欠かせない」と話している。

団体は、県央・県北地域で活動する「いばらきのシッポの幸せの会」。本年度、市動物愛護センターと共に動物愛護の啓発に取り組んでいる。活動は、市民のアイデアをまちづくりに生かす市の事業「わくわくプロジェクト」の一環で、市から経費が一部補助される仕組み。

事業名は「地域と動物の共生プロジェクト」。飼い主がいない野良猫について不妊手術をした上で地域住民らが世話をする活動や、「最期まで飼う」といったペット飼育のマナー、迷い犬を見つけた際の連絡先などをリーフレットにまとめ、回覧板を使って住民に知らせ浸透させる。同会の磯野史子さんは「私たちの得意とするSNS(交流サイト)の発信では届かない層がいる。アナログの回覧板なら届くかもしれない」と期待する。

同会は会員5人がそれぞれ、成犬や野犬の子犬といった引き取り手が見つかりにくい保護犬の譲渡会の開催や、地域猫の不妊手術の支援に取り組んできた。100匹を超える犬や猫の多頭飼育崩壊の現場で、ほかの団体と連携して支援に入った経験もある。

今回、同会が同センターと協力して周知する内容の一つが、地域にすむ猫への避妊手術の呼びかけだ。猫は1回の出産で3~8匹産み、生後半年ほどで妊娠できるようになる。際限なく増え、家の庭を掘り返されたり、ふんをされたりといったトラブルも生じやすい。避妊手術を施せば、数は自然に減っていくという。磯野さんは「避妊手術をして堂々と餌をあげてほしい。ふんを取ってくださいと伝えることも大切」と説明する。

同会は、犬や猫を巡るさまざまなトラブルに向き合ってきた。しかし、会員の高齢化が進み、従来の活動を続けるのは困難になりつつある。市と協力することで、適正なペットの飼育の周知や地域猫の避妊手術への協力を呼びかけ、トラブルの元を絶ちたい考えだ。

磯野さんらは「不幸な犬猫を減らすとともに、困っている人を助けていきたい」と強調。松田智行センター長は「市民目線で分かりやすい啓発物を作ってもらえれば、より広い年代に伝わるのでは」と期待した。



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