患者・家族会が啓発活動 難病「先天性横隔膜ヘルニア」 茨城・水戸 芸術館タワー緑色に

日本での年間発症例が少ない希少疾患で、指定難病にされている「先天性横隔膜ヘルニア」について知ってもらおうと、患者・家族会(菊池昌子代表)が啓発活動を続けている。同会設立から5年を迎えた25日、初の啓発イベントとして、水戸芸術館タワー(茨城県水戸市五軒町)をシンボルカラーの緑色にライトアップ。県内在住の菊池代表は「同じ悩みを抱える人と思いを共有するとともに、一人でも多くの人に病気のことを知ってもらいたい」と話し、理解と関心が高まることを願っている。
同ヘルニアは、胎児の時に横隔膜に穴が開き、腹から胸に臓器が入り込んでしまう病気。臓器が肺を圧迫し、呼吸困難などの重大な症状が出ることがあるという。
日本での発症は年間200例ほどの希少疾患の一つで、2015年に小児慢性特定疾病と指定難病の対象となった。
同会は20年5月25日に発足。現在、北海道から九州まで約60世帯が参加している。集会や会報発行を通して情報交換や交流を図っているほか、医療機関と連携した勉強会なども開いている。
菊池代表も娘が同ヘルニアと診断され、出産から育児まで「ずっと不安と孤独の闘いだった」と振り返る。そんな時に同会の存在を知り、同じ病を経験した仲間との出会いは「家族全員に生きがいを与えてくれた」と述べる。
県内で同会員となっているのは菊池代表の家族のみという。
菊池代表は「茨城県には自分と同じ悩みを抱えている人がもっといると思う。一人で悩まないでほしいし、そういう方々の受け皿になりたい」と話す。
ライトアップは午後6時に点灯し、同10時までの4時間、県都に緑色の同タワーが浮かび上がった。啓発活動の一環で初めて企画され、水戸市のほか、兵庫県尼崎市の尼崎城でも実施した。
菊池代表は「希少疾患であるがゆえの悩みや不安がある。少しでも病気への理解が進み、課題解決に近づくことを願う」と語り、他の医療的ケア児や難病を抱える人たちの励ましにもつながることを期待した。