コウノトリひなに足環 3羽の愛称募集検討 茨城・水戸市

茨城県水戸市は21日、4月誕生した国の特別天然記念物コウノトリのひなに、個体を識別するための足環(あしわ)を取り付けた。作業は、兵庫県立コウノトリの郷公園の協力で行った。市や同園によると、ひなは3羽で比較的大きく、健康状態は良好。6月半ばには巣立つ見込みという。市は、3羽の愛称を募ることを検討している。
作業には、市や同園のほか、茨城県日立市かみね動物園、上野動物園の職員ら約50人が当たった。職員らは高さ約40メートルの電波塔の先端にある巣まで上り、ひなに布製の目隠しをかぶせて捕獲。地上に下ろすと、体重や全長を測り、血液を採取し、足環を取り付けた。
ひなは白と黒の羽毛をまとい、大人が一抱えするほどの大きさ。職員は、ストレスでひなの体温が上がらないよう保冷剤を当てたり扇風機で風を送ったりしながら、慎重に作業を続けた。終始ひなはおとなしかった。兵庫県立コウノトリの郷公園の松本令以主任研究員(50)によると、ひなは怖い時にじっとする習性があるという。巣に戻した約1時間後、親鳥が帰ってくる様子が見られた。
市内でひなの誕生が確認されたのは、1971年に国内で絶滅してから初めて。3月に市民から連絡を受け、市職員が観察を続けたところ、4月に卵からかえったことが確認された。同市は、足環の取り付けなどにかかる費用を集めようと、ふるさと納税を活用したクラウドファンディング(CF)を実施。同月末までに52人から100万円が寄せられた。市の担当者は「コウノトリが育つことは、豊かな環境の証し。地域と力を合わせて見守りたい」と話した。
今後、同園などが採取した血液を分析し、性別を調べる。順調に育てば6月半ばごろに巣立つ見込み。