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輸出貨物船の入港拡大 新ターミナル着工 茨城港常陸那珂港区中央埠頭

常陸那珂港 貨物量の推移
常陸那珂港 貨物量の推移
新たな国際物流ターミナルの本格整備が始まる常陸那珂港区中央埠頭のDバース。フェンスの先にEバースが整備される=ひたちなか市(国土交通省提供)
新たな国際物流ターミナルの本格整備が始まる常陸那珂港区中央埠頭のDバース。フェンスの先にEバースが整備される=ひたちなか市(国土交通省提供)


茨城港常陸那珂港区(茨城県ひたちなか市、東海村)の中央埠頭(ふとう)で、新たな国際物流ターミナルの本格整備が始まる。需要に追い付いていない外貿貨物船の入港に対応し、地域産業の国際競争力の強化を図るのが狙い。国や県は「利便性向上により港湾周辺への企業進出が期待できる」と強調。31日には関係者が出席した着工式典が同市で開かれた。

国土交通省鹿島港湾・空港整備事務所や県港湾課によると、新たに整備するのは中央埠頭の「Eバース」と呼ばれる岸壁と埠頭用地。稼働中のDバース(延長300メートル)から沖へ約330メートル延長する。

岸壁は耐震化を図り、国が整備。荷さばきの埠頭用地は県が整備する。本格的な工事は8月以降から始まり、2030年度に完成を予定する。総事業費は160億円を見込む。

Eバースには自走式貨物を積み込む外貿RORO(ローロー)船の入港を想定。水深は14メートルで、大型船や新造船にも対応する。供用開始後は、北米向けに輸出する建設機械や自動車の取り扱いを同港の北埠頭から移し、慢性的に発生している入港待ちや、入港先変更を余儀なくされる問題の解消を図る。

常陸那珂港の貨物量は増加傾向にある。23年の貨物量は1578万トンで、このうち海外に向けた「外貿」が1077万トン、国内に向けた「内貿」が501万トン。国や県は海外の建機などの需要増に伴って中央埠頭を段階的に延長し、16、20年にそれぞれC、Dバースの供用を始め、翌年の外貿貨物量は一気に増加した。

リチウムやニッケルなど鉱山における需要増加に伴い、20年以降は同港区内に立地する工場などで生産する建機の輸出も増大。入港待ちの解消に加え、建機のさらなる需要増に対応するため、新たな岸壁整備が求められていた。

同整備事務所と県は、Eバース整備で常陸那珂港の利便性が向上し、物流拠点の機能が強化されるとして、港湾周辺や北関東への企業進出を期待する。また「入港待ちや陸上輸送距離の短縮に伴うコストの削減効果も大きい」としている。

着工式典はひたちなか市磯崎町のホテルで開かれ、国交省の稲田雅裕港湾局長をはじめ、県、地元自治体、港湾利用企業の約120人が出席。工事の安全を祈願する「くわ入れ式」などが行われた。

来賓代表の梶山弘志衆院議員は「工事が無事に完成し、多くの船がにぎわう港になることを祈念する」と祝辞を述べた。

鹿島港湾・空港整備事務所の黒瀬康夫所長は「日本の基幹産業を支える港の機能強化は、地域発展にもつながる社会的意義の深いプロジェクト」と強調。一日も早い供用開始に「全力を尽くす」と意気込んだ。



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