山田村長 東海第2再稼働容認 4選目指し出馬表明 茨城・東海

運転停止中の日本原子力発電(原電)東海第2原発(茨城県東海村白方)について、同村の山田修村長(64)は10日、「再稼働は必要」と明言し、緊急時対応を国が了承し、安全対策工事が完了すれば再稼働を認める方針を明らかにした。9月20日に任期満了を迎える次期村長選に4選を目指して立候補することも表明。再稼働に対する態度を明確にした上で選挙に臨み、民意把握に努める考えだ。同日開かれた村議会で越智(おち)辰哉議員の一般質問に答えた。
東海第2の再稼働には、立地自治体の同村ほか、周辺自治体の実質的な事前了解も必要で、時期のめどは立っていない。
山田村長はこれまで再稼働の是非について「中立」の立場を貫いてきた。容認に至った理由について記者団に「(原発を含め)地域の雇用と経済の相当を占めている。東海村に原子力は必要。村長選に当たり(容認を)表明しなければいけないと思った」と説明した。同村が今年、70周年を迎えたことに触れ、「基幹産業である原子力とともに歩みを進める必要性を改めて認識した」と述べた。
再稼働を巡り、原電は2018年、立地自治体のほか、同県水戸市など周辺5市の実質的な事前了解を得るとする「新安全協定」を結んでいる。
東海第2では再稼働に必要な対策のうち、防潮堤の施工不備が23年6月に見つかった。工事完了は26年12月になるとしている。
山田村長は県庁職員、同村副村長を経て13年9月に初当選。現在3期目。
《解説》「政治家個人として」強調
東海村の山田修村長が4選を目指し立候補する上で、東海第2原発の再稼働を容認する立場を表明した。「なぜ今なのか」「拙速では」。村議会では、答弁を引き出した議員からも疑問の声が上がった。
東海第2は現在、防潮堤の建設など安全対策工事の真っただ中。広域避難計画も14市町村のうち水戸市など6自治体で策定されていない。そんな中での容認表明は、国がエネルギー基本計画で「原子力を最大限活用」と方針転換したことが背景にあるとみられる。
山田村長は「表明は村の機関である村長としてではなく、村長選に臨む政治家一個人として」と前置きし、「村としての最終的な判断は別途出される」と明言。民意を測る必要性を感じていたとみられ、「このタイミングでしか言えない」とも述べた。
何より記者たちの前で語った「(村の歴史)70年を振り返ると、東海村では原子力を切り離して街づくりができないと再認識した」という言葉の響きが重く感じられた。