台風レベルの風再現 防災科研の降雨実験施設 茨城・つくば

防災科学技術研究所(茨城県つくば市天王台)は大型降雨実験施設に、新たに最大で風速毎秒25メートルの暴風を発生させる機能を追加した。台風レベルの強い風を再現でき、暴風雨環境下でも稼働するドローンの開発実験などへの活用が期待される。11日、同施設を報道陣に公開し、豪雨に毎秒25メートルの暴風が吹く状況を再現した。
同施設は幅49メートル、長さ76メートル、高さ21メートル。1974年に運用を開始した。天井に取り付けられた544個の散水ノズルから、毎時15~300ミリの雨を降らせることが可能。これまで降雨設備だけだったが、新たに暴風発生装置を設置した。
暴風発生装置は大型送風機を内部に4機使用して製作。風口幅3メートル、高さ3メートルで、毎秒1メートルから最大で毎秒25メートルの暴風を発生させることができる。降雨装置を同時に稼働させることで、台風や線状降水帯などの暴風雨の再現が可能となる。災害現場での利用を目指すドローンや自動運転車の検証試験などへの活用が期待される。
この日は国内過去最多の毎時300ミリ相当の雨に、毎秒約20~25メートルの風が吹く状況を再現した。
同施設研究推進室の酒井直樹室長は「一般の人が日常で一番遭遇しやすい危ない風の環境を再現できるようにした。雨風に強い車の製作などイノベーションに寄与したい」と話した。