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小中生に「居場所」提供 取手の放課後教室 高校生が共同運営 不登校の少年、心軽く 茨城

「さくらんぼ教室」で高校生らと交流する宮城隼人さん(中央)=5月19日、取手市桜が丘
「さくらんぼ教室」で高校生らと交流する宮城隼人さん(中央)=5月19日、取手市桜が丘


高校生が大人と共同運営する小中学生向けの放課後教室が、茨城県取手市内にある。通う不登校の中学生の1人は年上との交流を通じ、明るさや前向きな気持ちを取り戻した。ここでの経験を将来、教員として生かしたいとする高校生もいる。開設から約3年が経過し、関わる一人一人にとって大切な場所になっている。

5月19日、取手市内の集会所で小中・高校生ら約10人がテーブルを囲み、笑顔で語り合っていた。押し花でしおりを作り、大人たちがサポートした。

毎月2回の「さくらんぼ教室」。2022年夏にスタートした。放課後、ボランティアの高校生と地域の大人たちが、地元の小中学生に無料で学習や体験の場を提供。高校生が共同代表を務め、運営に携わるのも特徴だ。

「敬語が抜けないね」と言われ「ため口は苦手なんです」。女子高校生2人と話す男子中学生がいた。

近くに住む中学2年の宮城隼人さん(14)。宮城さんは学校への放課後の登校を終えて駆け付けたといい、「普段関わることができない年上の人と話すのが楽しい」と同教室の魅力を語る。

小学4年の終わりから、友達関係に悩んで不登校に。5年の時、友人の誘いなどをきっかけに同教室へ通い始めた。「黙々と勉強をしているのかと思ったが、ワイワイにぎやかで、入れるかなと思った」と、居心地の良さにも後押しされて毎回顔を出す。

女子高校生はともに取手一高3年で、共同代表の浅沼来弥さん(17)と池田夢羽さん(18)。

浅沼さんは「年齢関係なく話せる雰囲気をつくりたい」と心がける。2人の高校生は教師を目指しており、池田さんは「この経験を自分の夢に生かしたい」と貴重な経験を積む。

宮城さんは今春から徐々に学校に行けるようになり、週2回の放課後登校のほか、サッカー部に参加する。

「心が明るくなり、開き直れた」。そう思えたのは教室を通じて、いろんな人の価値観に触れたから。重く捉えていた自身の悩みは「みんなからしたら、大きいことではない」と感じ、心が軽くなったという。

気持ちの変化は、行動にも影響を与えた。浅沼さんや池田さんも関わる市内の中高生ボランティアグループに入った。5月上旬、取手駅前での募金活動に宮城さんの姿があり、駅利用者に協力を呼びかけた。

宮城さんは、生き生きと語る。「さくらんぼ教室のおかげで、学校で経験できないことができた。不登校の経験もマイナス面だけではなかった」



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