日立で次世代健康都市 市と日立製作所 2031年構想 オンライン診療や相談 茨城

次世代未来都市(スマートシティー)実現へ共創プロジェクトに取り組む茨城県日立市と日立製作所は17日までに、2031年の市の健康・医療・介護の将来像を示すグランドデザインをまとめた。構想ではデジタル技術を活用し、医療機関でオンラインによる診療や相談を始めるほか、市民の健診データ分析や、人工知能(AI)による健康アドバイスなどに取り組む。
両者は23年12月に包括連携協定を締結。デジタルを活用しながら交通と医療・介護、脱炭素の三つをテーマに持続可能なまちづくりを目指す。市は今年4月、担当の部署を課から部に格上げし、専従職員を8人から14人に増やした。兼務職員と日立製作所からの社員参加を含めると総勢約150人体制で臨む。
構想は昨年11月にまとめた交通の将来像に続き、医療・介護のオンライン化が軸。主に「地域医療のデジタル化」「健康データの集約・活用」「地域包括ケアシステムの構築」に取り組む。
医療のデジタル化は、市内にある医療機関でオンライン診療を進める。4月に小児対象の夜間・休日オンライン診療と、子育て世帯対象の24時間オンライン医療相談サービスを開始。これまで約2000人が登録し、実際にオンラインで診察したのは124人だった。市は登録者を増やすためPRを進める。
健康データの集約は、市内に住む40~79歳の各健康保険加入者約6万6000人の統計データを活用。本年度は健康データを集める実証を行う。希望者向けに健康アプリを活用し、AIによる疾病予測分析などの実証も進める。8月下旬にも300人規模の市民向け健康増進イベントを開く。
地域包括ケアでは医療・介護に関わる他職種の関係者が要介護者などの情報を共有し、連携を図る。本年度は病院や介護事業所といった事業者の参加を広げ、入退院時に切れ目のないサービスを提供する検証を行う。
共創プロジェクト推進本部の担当者は「健康・医療・介護における社会課題をデジタルの力で解決するイメージを提示していきたい」と話した。