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茨城いのちの電話 心のSOS受け止め40年 相談員減、若者参加に力

ヘッドホンを通して電話の向こうの悩める人に耳を傾ける相談員=つくば市内
ヘッドホンを通して電話の向こうの悩める人に耳を傾ける相談員=つくば市内


悩みや苦しみを抱える人の声に耳を傾けてきた「茨城いのちの電話」が6月、開局40年を迎えた。自殺予防という大きな役割を担ってきたが、相談員の高齢化や人員減少が続き、相談体制の維持は危機的状況にある。運営する社会福祉法人・茨城いのちの電話は「いつでも頼れる、明日につながる相談にしたい」とし、体制強化と次世代継承に向けて若者の参加などに力を入れる。

「生きているのがつらい」「死にたい」「しんどい気持ちを聞いて」。茨城いのちの電話は1985年6月1日に開局し、91年からは24時間体制で多くのSOSを受け止めてきた。

電話より交流サイト(SNS)を使う若者などの相談にも応えようと、2021年には全国に先駆け、LINE(ライン)を活用した相談も開始した。

同法人によると、昨年の相談件数は電話が1万5332件、ラインが311件。このうち、死ぬことをにおわせるなど「自殺傾向」のある相談は1234件だった。相談件数はピーク時の約半数まで減少したが、自殺傾向のある割合は増えているという。

増加の背景について、多田博子事務局長は「地域との関わりが希薄になり、周りの人に気軽に話しにくい環境になっているのではないか」と推測する。


40年にわたり大きな役割を果たしてきた茨城いのちの電話だが、苦境に立たされている。

1999年に289人いた相談員は現在、163人まで減少。人員不足で回線が混雑し、1割ほどしかつながっていないという。

さらに、相談員の大半は60代以上で高齢化。相談が多い深夜帯に対応できるのは月の3分の1~半分程度となっており、24時間体制が困難になっている。

同法人は「相談員を増やし、平均年齢を下げることが必要」と改善に着手。若い世代を視野に、昨年からインターネットで応募できるようにし、23歳以上の学生には養成講座を割引価格で受けられるようにした。こうした取り組みに力を入れる中、本年度は20~30代の応募が複数あった。

「生きたいという気持ちがあるからこそ電話やメッセージをくれる。悩む気持ちに寄り添い、明日を生きることにつながる時間にしたい」。多田事務局長は活動の意義を強調し、次世代継承を見据える。



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