百日ぜき拡大 茨城県内832人 年間最多 4週連続100人超

激しいせきを引き起こす感染症「百日ぜき」の報告が茨城県内で拡大している。県感染症情報センターが公表した9~15日の1週間の感染者数(速報値)は前週比41人増の147人で、4週連続で100人以上となった。今年の県内累計患者数は832人で、統計が全数把握となった2018年以降で最多となり、収まる気配は見えない。県感染症対策室は「せきが続く場合は早めに受診を」と呼びかけている。
同対策室によると、県内累計患者数はこれまで19年の433人が最も多かった。今年は約半年間で、同年の2倍近い感染が報告されている。2月中旬から増え始め、5月19~25日の週に最多を更新。同週に104人が報告されて以降、週当たり100人以上の報告が続き、増加傾向にある。
年代別の感染者は16日現在、10代が全体の51.4%に当たる351人。続いて10代未満が138人に上り、10代以下が7割以上を占める。保健所別では、つくば、水戸、潮来の順で多い。
同感染症は「百日ぜき菌」が原因。風邪の症状から始まり、徐々にせきが激しくなる。短いせきを続けた後、息を吸うときに「ヒュー」という音が出る。生後6カ月以下は重症化しやすく、肺炎や脳症の合併症でまれに死亡する。
飛沫(ひまつ)や患者との接触で感染が拡大。予防は小まめな手洗いやマスク着用、ハンカチなどで口元をふさぐ対策が有効とされる。乳幼児の感染を予防するワクチンは、生後2カ月からが対象。接種で感染リスクは8割ほど減らせるが、免疫効果は4~12年で弱まる。
県は同センターを通して感染状況を周知し、県の交流サイト(SNS)でも感染対策を発信している。同対策室は「感染が拡大していることを念頭に置き、基本的な感染対策をお願いしたい。せきが続く場合は早めに受診をしてほしい」と注意喚起している。