障害者福祉の中核、完成 茨城・水戸 あすなろの郷に新施設


茨城県の障害者福祉の中核となる「県立あすなろの郷」(水戸市杉崎町)の新施設が完成し、竣工(しゅんこう)式が26日、同所で開かれた。民間施設で対応困難とされる最重度の障害者の受け入れに特化。最重度以外の障害者を受け入れる民間施設と役割分担を図ることで、県内全体の障害者福祉の充実化を図る。今後は入所者の受け入れ準備を進め、9月に供用を始める予定。
新施設は延べ床面積1万8518平方メートル。2023年7月に着工し、今年3月に完成した。総工費は117億7千万円。
医療的ケアが必要な障害者が入所し病院や通所機能も設ける2階建ての棟と、強度行動障害がある人が入所する1階建ての棟で構成される。定員は病棟を含めて計250人。供用開始後は県社会福祉事業団が指定管理者として運営する。
居室面積は9.9平方メートルで従来の施設の3倍。全ての居室に電動ベッドを配備した。資材に県産木材を取り入れ、2棟の間の屋外に屋根付き通路を整備。南向きにテラスを設置するなど日差しが入りやすい構造で、入所者に快適な生活空間を提供する。
あすなろの郷は前身の施設が1973年に開設。県は、開設時からある施設の老朽化が進んだことなどから、建て替えと再編を検討。新施設を最重度の障害者の受け入れに特化する方向性を打ち出した。入所者を障害の程度に応じて民間施設と分担して受け入れ、県内の障害者に漏れのない支援の提供を目指す。
新施設には既存施設に入所する373人のうち、重度の障害があって特に支援が必要な230人が移る。入所対象と比べて比較的程度の軽い残りの173人は、2003年に敷地内に整備された施設を活用。県に代わり、県社会福祉事業団が自主事業として運営する。
竣工式は大井川和彦知事や茨城県選出国会議員、県議、県市会長、県町村会長ら約95人が出席。テープカットや内覧会が行われた。大井川知事は「機能的になっており、利用者に快適な施設を提供できる。民間で支えきれない医療的ケア児や重度行動障害者を集中して県がサポートする体制が整った」と述べた。