茨城県内路線価 つくば駅周辺 開発進む マンションや複合施設

関東信越国税局が1日発表した茨城県内路線価で、つくば市吾妻1丁目のつくば駅前広場線が11年連続で1位となった。つくばエクスプレス(TX)つくば駅を中心とするつくばセンター地区は、狭いエリアに商業施設やホテル、オフィスビルが集積。国家公務員宿舎跡地には分譲マンションが建設され、地価上昇の要因となっている。
つくば駅前の商業施設は2021年に「トナリエつくばスクエア」が開業。今春は駅直結の複合施設「ディールつくば」も誕生した。26年夏には駅から徒歩約10分の場所に、地上14階建てのビジネスホテルが完成する。
駅周辺にはかつて、国家公務員宿舎が点在。老朽化に伴い、国は05年以降に売却を開始し、跡地には分譲マンションが次々に建てられている。
つくば都市交通センターによると、地区内ではコロナ禍でも分譲マンションが完成し、20年以降で7件1453戸が供給された。これに合わせ、地区人口は24年1月までの4年間で2392人増加。首都圏からの転入者も目立つようになってきた。
人口増の背景には東京・秋葉原まで電車で最速45分というアクセスの良さがある。建設されたマンションはほとんどがつくば駅から徒歩圏内にあり、完成時点で完売した物件もあるほどだ。
ある不動産デベロッパーの担当者は「首都圏から見て茨城は郊外だが、つくばは別格。教育水準の高さを求め、引っ越してくる人が一定数いる」と指摘。国家公務員宿舎跡地は今後も開発が予定され、「つくばのマンション価格は資材高騰も相まって、今後さらに上がる」と予想する。
つくば駅周辺の活性化について、市は20年に策定した中心市街地まちづくり戦略に基づき、つくばセンタービルのリニューアルやまちづくり会社の立ち上げなど、にぎわい創出に取り組んできた。
市学園地区市街地振興課の担当者は「市が積極的に投資する姿勢を見せたことで、企業も駅周辺に集まり始めた。こうした良い流れも、路線価上昇の一つの要因になっているのではないか」と話した。