茨城県内、大気不安定 県南で突風か 植物園で30本以上倒木 納屋の屋根飛ぶ


茨城県内で大気の状態が不安定になり、雷を伴う大雨に見舞われた1日、県南地域で突風の影響とみられる被害が複数あったことが、2日までに分かった。つくば市天久保の国立科学博物館筑波実験植物園では園内30本以上の木が倒れ、かすみがうら市粟田では納屋の屋根が飛ばされた。県内では落雷の影響による被害も複数確認されている。
同植物園によると、1日午後5時半ごろ、雨が上がった後に遊川知久園長らが園内を見回ったところ、多数の倒木を確認した。
倒れた木は30本以上とみられ、詳細は確認中。1983年の開園当初からある約15メートルにまで成長した「モミ」の木や、北米原産で日本ではほとんど栽培されていない「コルヌス・フォエミナ」などが含まれる。
数十本の倒木被害は開園以来初めて。豪雨で地面が緩んだところに強烈な突風が吹き、根こそぎ倒れたり、折れたりしたとみている。2日は臨時休業し、職員ら約20人が、遊歩道に散った枝や倒れた木を伐採して撤去するなど、復旧作業に追われた。3日から通常通り開園し、今週中には復旧を完了する予定。
同園は約14ヘクタールの敷地内に約7000種類の樹木や希少種が植栽されている。遊川園長は「大変ショック。多様性保全のため、なくなった木はまた代わりのものを育てたい」と話している。
かすみがうら市では、屋根が飛ぶ被害があった。粟田、農業、横田明さん(82)方で、敷地内にある納屋の屋根が吹き飛ばされ、隣家の空き家に覆いかぶさった。
横田さんによると、1日に雨が収まった後、被害を確認した。屋根は金属製で約14メートル四方の大きさ。納屋にはコンバインやフォークリフト、農業用資材を保管していた。
屋根は梁(はり)とつながった状態で全て吹き飛ばされており、横田さんは「相当強い突風が吹いたのではないか」と推測した。
水戸地方気象台によると、1日、つくば市と小美玉市で1時間に39.5ミリ、土浦市で1時間に31.5ミリの激しい雨を記録した。
県防災・危機管理課や各消防本部によると、1日の雨や落雷の影響による人的被害は1件、物的被害は4件あった。うち1件はつくば市で住宅が焼け、男性が軽いやけどを負った。石岡市では住宅が全焼、古河市では工場のブレーカーが損傷した。土浦市では床上浸水が1件あった。