ドイツ演劇、能舞台で 演出・深作さん「観客参加させたい」 5日から水戸芸術館 茨城

ジェンダーの壁を越えた愛を描いた舞台「フェードラ-炎の中で-」が5、6日、茨城県水戸市五軒町の水戸芸術館で上演される。社会のタブーに迫る現代ドイツ演劇の最新作。同館で多くの演出に携わる深作健太さん(52)が、ステージ表現の演出の目玉として能舞台を特設している。稽古本番を控えた3日、深作さんは「近さと一体感が能舞台の魅力。お客さんには物語の当事者として劇に参加させたい」と意欲を語った。
「フェードラ」は、ドイツ語圏で活躍するジョージア出身の女性作家、ニノ・ハラティシュヴィリ氏の戯曲。現代社会や家族のタブーに切り込む同氏は、ドイツ演劇界で最も注目されている一人だ。
ギリシャ悲劇を題材にした本作は、アテネの王テーセウスの妻フェードラと、フェードラの長男の婚約者ペルセアとの愛を軸に展開。2022、23年に欧州で上演され、日本では都内劇場での公演(6月下旬)に次いで2会場目となる。
フェードラ役は元TBSアナウンサーの堀井美香さん(53)。フリーランスとして朗読会など多方面で活躍する堀井さんは、21年のラジオドラマ「風立ちぬ」で総合プロデューサーを務めた。深作さんが同ドラマの演出に関わった縁で、深作さんから熱く請われ、今作での初舞台、初主演に至った。
演出で目玉となるのが特設の能舞台。深作さんが昨年同館で手がけた舞台「ノラ-あるいは、人形の家-」でも用いられた。「日本人が500年以上かけて培った四角い空間。取り巻くこの円形劇場とともに今作を過激に盛り上げてくれるはず」と深作さん。東京公演の手応えを踏まえ、「堀井さんらの伸び伸びとした演技を水戸の皆さんにも届けたい」と声を弾ませた。
「フェードラ-炎の中で-」は5、6日、同館ACM劇場で午後2時開演。チケットは同館(電)029(225)3555。