《大阪・関西万博2025》教育遺産群、連携PR 茨城・水戸など3県4市 6日まで

大阪・関西万博会場で、茨城県水戸市は岡山県備前市など3市と連携し、日本遺産「近世日本の教育遺産群-学ぶ心・礼節の本源-」の魅力を国内外に紹介する展示を行っている。同会場で開かれている催し「第3回日本国際芸術祭」の一環。教育遺産を紹介するパネル展示や文化人を招いたセミナーが多くの人でにぎわっている。6日まで。
近世日本の教育遺産群は、同市と栃木県足利市、大分県日田市、同県備前市の4市の史跡などで構成。武士の師弟が学んだ水戸藩の藩校「弘道館」や国内最初の庶民のための学校「閑谷学校」(備前市)をはじめ、江戸時代のさまざまな社会階級の人々が通った学校や学んだ書籍などを「教育遺産群」として位置付けている。
今回の展示は、4市でつくる「教育遺産世界遺産登録推進協議会」が行った。会場内には、水戸藩2代藩主・徳川光圀が編さんを命じ、藩の学者らが全国を回って各地の伝承や歴史をまとめた「大日本史」(402巻)や弘道館記の拓本などが展示され、教育遺産群を紹介する映像も放映されている。4市の職員が交代で常駐し、来場者らに説明していた。
4日、日本の近世史に詳しい東京学芸大名誉教授の大石学氏が「徳川の平和(パクストクガワーナ)と江戸のリテラシー」と題して講演した。武士から庶民まで幅広い身分の人が主体的に学んでいた江戸時代の様子について、当時の落書きなどを通じて紹介。「学びの持つ豊かさを見なすきっかけになる」と話した。
会場は歴史愛好家らでにぎわっていた。兵庫県から来た井上順子さん(55)は「(「大日本史」について)詳しく説明も聞けて万博に来られてよかった」と満面の笑み。「いつか娘を連れて茨城に行ってみたい」と話した。大阪府大阪市内から来た吉村美貴子さんは「観光に教育を絡めるのが面白いし、水戸などにある教育遺産群に興味が湧いた」と声を弾ませた。