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《連載:参院選茨城 思いをどこへ25年》 終身支援 需要高まる 高齢者単身世帯の急増

「しんらいの会」の青木規幸さん(右)と遺言作成を話し合う女性=県南地域
「しんらいの会」の青木規幸さん(右)と遺言作成を話し合う女性=県南地域


「残った財産を、必要とする人に届けたい」「遺言は公正証書にしたほうがいいですよ」

茨城県南地域の女性(66)が遺言作成を男性に相談していた。女性は2階建て一軒家で1人暮らしする。

リビングの棚には、3人の遺影が飾られている。同居していた義父母、そして2年前に病気で旅立った夫。夫婦に子どもはいない。実父母も亡くなり、近親者は、おいとめいだけだ。

男性は一般社団法人・しんらいの会(同県土浦市)の理事長、青木規幸さん(55)。法人では女性に対し、入院時の身元保証や通院の付き添いから、葬儀など死後事務までも担う。24時間365日体制で支える。

サービスは主に、女性のように身寄りのない高齢者を対象とする。高齢化や核家族化、家族の多様化などに伴ってニーズは高まり、「高齢者終身サポート事業」と呼ばれる。

女性は余命宣告の夫との時間を精いっぱい過ごした。自宅でみとり、夫の死後手続きを終え、一段落すると自分の先々を案じた。リハビリ職で病院や施設に勤務した経験から、身寄りのない高齢者の課題は知っていた。

おい、めいとの関係は悪くない。ただ、家族や身内が最期まで面倒を見てくれるというような価値観の社会ではなくなり、家族の形は変わりつつあると考える。「私のことで煩わせたくない。自分で身の終わり方を決めた方がいい」。自治体に相談し、昨年秋、同法人と契約した。

同法人は2009年の事業開始以降、会員約600人の葬儀を執り行った。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、50年に65歳以上の独居率は男性26.1%、女性29.3%に上る。未婚化や少子化などから、近親者の全くいない高齢単身世帯の急増が想定される。

「何をするにも一緒だった」と夫婦仲を懐かしむ女性に「優しい旦那さんだったのですね」と、目を赤くしながら言葉をかけた青木さん。「誰もが亡くなる時に、寂しい思いをしてほしくない」。社会的なサポートの必要性を訴えた。



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