茨城、常磐両大と連携 県央9市町村 学生と地域活性化へ

茨城県水戸市など県央地域の9市町村と茨城大、常磐大の2大学は7日、地域の活性化や活躍する人材の育成などを目指し包括連携協定を結んだ。9市町村は中核市の水戸市を中心に「いばらき県央地域連携中枢都市圏」を形成し、自治体の垣根を越えて地域課題に取り組んでいる。協定締結を機に、両大学の持つ知的・人的財産を生かした事業に乗り出す。同市によると、大学が複数の自治体と共同で協定を結ぶのは全国的にも珍しい。
同都市圏は、水戸市の中核市移行を契機に水戸、笠間、ひたちなか、那珂、小美玉、茨城、大洗、城里、東海の9市町村で結成。人口減少が進む中、夜間の診療体制や交通網の維持など30分野で連携し、対策に取り組んでいる。9市町村と2大学は今回の協定に基づき、地域の活性化や人材の育成に協力して取り組む。具体的な取り組みは検討中で、2027年度以降の同圏の事業計画に両大学との連携事業を盛り込むという。
同日、水戸市役所で協定式が行われ、9市町村の首長と茨城大の太田寛行学長、常磐大・常磐短大の下村裕学長が出席した。
協定式後、下村学長は取材に対し「大きな枠組みで協定を結ぶことで、今までよりスケールの大きな共通の目標・課題に対して協力していけるようになる」と意義を説明。同大は圏域の自治体からの提案を受け、入試の地域枠の創設などを検討していると明かした。
太田学長は研究分野での連携に加え、「地域に暮らす学生」にも着目する。「『できるだけ早く茨城から離れたい』と思う学生たちがいる。なぜそう思うのか。何か課題があって大学として関われるものがないのか。協定の中で探り、学生たちがハッピーに暮らせるようにしたい」と話した。
座長の高橋靖水戸市長は「知の拠点である大学の研究成果を街づくりに生かしたい。どう街づくりをしていけば学生が圏域内で就職し、暮らしてもらえるかを考えていく」とした。