次の記事:部下の男性に暴行、死亡させる 容疑で上司2人逮捕 懇親会でトラブルか 茨城県警【まとめ】 

茨城新聞合同政懇 「反骨心の継承使命」 水戸芸術館長・片山氏 県の歴史解説

「水戸と芸術館の過去・現在・未来」をテーマに講演する片山杜秀氏=水戸市千波町
「水戸と芸術館の過去・現在・未来」をテーマに講演する片山杜秀氏=水戸市千波町


茨城新聞社主催の合同政経懇話会が8日、茨城県水戸市千波町の水戸プラザホテルで開かれ、音楽評論家で昨年11月に水戸芸術館長に就任した片山杜秀氏が「水戸と芸術館の過去・現在・未来」をテーマに講演した。古代常陸国から幕末の水戸藩に至る歴史を踏まえ、「芸術館の誕生の根っこには地方でありながら中央と対等であろうとする、古代からの反骨心がある。連綿と続く先人の息吹を継承することが私たちの使命と捉えている」と力を込めた。

片山氏は1963年、宮城県仙台市生まれ。慶応大法学部教授(政治思想史)。80年代後半からクラシック音楽の評論を執筆し、2008年に二つの著書が、優れた芸術評論に対して贈られる吉田秀和賞に輝いた。水戸学の研究などで水戸の歴史風土にも精通し、21年に「尊皇攘夷(じょうい)-水戸学の四百年-」を刊行した。

講演では、古代の常陸国から幕末の水戸藩に至るまでの茨城県の歴史について改めて解説。「常陸国は大和政権の力がぎりぎり及ぶ辺境の地。みちのく(東北)と接する重要なエリアだったが、その分、中央政府からのプレッシャーで、きしみも多かった」と指摘した。

江戸時代・徳川御三家の中での水戸藩については、紀州藩や尾張藩より格下で、財政的な貧しさがあったことを説明しながら、幕末の水戸藩が明治維新の原動力になった経過を紹介。そうした常陸国や水戸藩の歴史を踏まえた上で「辺境に位置し中央とは別の価値観があった。開拓精神にあふれ、常に頑張ろうとする土地柄だった」と総括した。

1990年に設立された水戸芸術館についても「東京に負けない文化芸術を発信したいという、当時の佐川一信水戸市長らの理念があって実現した。その理念の基となったのは、古代からの歴史が水戸に与えた宿命とも言える反骨心だった」と原点を確認。同館のかじ取り役として「世界に通じる催事を通じて、連綿と続く先人たちの思いや息吹を受け継ぐことが私たちの使命だと考えている」と力を込めた。

【出席者コメント】
■山本祐樹・NTTドコモ茨城支店長 熱い講演聞き感銘

昨年の異動まで、水戸にはゆかりがなかった。水戸学や徳川御三家についても、聞いたことはあったが深く理解していなかったので、今日の熱い講演を聞いて感銘を受けた。水戸ビギナーにとって歴史、文化を知る良い機会となった。

■原田博夫・専修大名誉教授 ご破算できぬ歴史

水戸学の功罪相半ばする部分を克明に説明していただいた。水戸学あるいは水戸に与えられた政治的役割、思想的な条件というものが、200~300年前から今でも残っているのかもしれない。歴史はそう簡単にはご破算にはできないのだと感じた。

■岡村弘志・鹿島埠頭社長 新しい視点を得た

「ひたち」という名の由来や成り立ち、歴史を知ることができた。新しい船の名前を考えているところで、非常に参考になった。芸術館が水戸になぜあるのか、歴史的なことと絡めて知ることができ、新しい視点を得ることができた。

■佐川正一郎・福島県矢祭町長 国を変えた水戸学

水戸は御三家の一つでありながら、その辺境性などから周囲から軽く扱われることもあった。結果的に反骨心を生み、水戸学をつくり尊皇攘夷思想に影響を与え国を変えていった。芸術館設立の裏側にも、そういった水戸の思いがあったのだろうと思った。

■前島順子・日本生命保険柏常総支社つくば学園営業部 改めて茨城を知る

「日の立つところ」など、茨城、日立(常陸)の歴史や由来、水戸徳川家の特殊性や日本史と水戸学、水戸のポジションについて、ユーモアを交えた解説が面白かった。改めて、茨城の素晴らしさを知ることができて良かった。



最近の記事

茨城の求人情報