茨城県内主要7社 増益確保 15社の25年2、3月期決算 26年も小売り好調見込み

茨城県に本社やグループ会社を置く企業15社の2025年2、3月期決算が13日までに出そろった。ほとんどの企業が前期比で売り上げを伸ばし、赤字縮小を含め7社が増益を確保した。26年2、3月期は米国の関税政策などの影響で先行き不透明感が増す中、小売業者は通期業績予想で増益を見込んでいる。
家電量販店大手のケーズホールディングス(HD、水戸市)は、売上高が前期比2.7%増、純利益は同29.1%増となり、4期ぶりの増収増益だった。エアコンや暖房器具など季節商品の販売が好調だったことが寄与した。
アパレル大手のアダストリア(水戸市)は売上高が前期比6.4%増、純利益が同28.9%減と増収減益だった。M&A(合併・買収)でブランド拡大などを進めたが、残暑の影響から秋冬商戦で苦戦し、利益全体を押し下げた。
カスミ(つくば市)は税制改正に伴う外形標準課税の税率変更が影響し、純損失が14億9900万円となった。ただ、客数が回復し、客単価も前期を上回って営業収益は増収となった。
連結決算に移行した飲食店「忍家」などを展開するホリイフードサービス(水戸市)は繁忙期に当たる12月以降の予約数が予想を上回って推移し、黒字を確保。原材料価格の高騰に対しては、定番メニューの変更や価格の見直しを行い、コストを最適化した。
ロボットスーツ「HAL」を製造販売するサイバーダイン(つくば市)は前期から赤字幅を縮小した。子会社の減損損失を抑え、HALの製品レンタルが戦禍のウクライナやマレーシアを中心に増えた。
ひたちなか海浜鉄道(ひたちなか市)はコロナ禍の影響による利用者数の落ち込みから、輸送人員や営業収入が回復基調となった。大洗鹿島線などを運行する鹿島臨海鉄道(大洗町)は昨年10月の運賃引き上げで運輸収入が増加し、前期から赤字幅が半減した。
つくばエクスプレス(TX)を運営する首都圏新都市鉄道(東京)は営業収益が同6.0%増の479億4100万円で、2005年の開業以来、過去最高となった。輸送人員が新型コロナ禍前に戻った。
県内に本店を構える銀行と信用金庫、信用組合の5地域金融機関は、国内の金利上昇で利息収入などが伸び、2行が増益となった。一方、2信金1信組は減益。本業のもうけを示すコア業務純益(投信解約損益除く)はいずれも増益を確保した。
業績予想で増益を見込むケーズHDは、景気回復を見込む一方、物価高騰による消費者の生活防衛意識の高まりや米国の政策動向による影響への懸念について注視すべき状況と指摘。その中で、年収103万円の壁の見直しによって働く時間が増え、家事家電のニーズが高まると予想し、増収増益を見積もった。
アダストリアは9月から持ち株会社体制に移行する。グループにはない特色を持つ企業のM&Aを通じ、取り扱うカテゴリーやサービスの拡充、海外展開を加速させる。