茨城県内高速道、逆走5年18件 7割高齢者、人身事故も

全国で車の逆走事故が相次ぐ中、茨城県内の高速道路でも逆走事案が続いている。県警によると、県内の高速道で逆走車両を確保したケースは2024年までの5年間で計18件あり、このうち運転者の7割を高齢者が占めた。この間に死亡事故はなかったものの、18年には1人が亡くなった。重大事故に直結する逆走を防ぐため、県警やネクスコ東日本は対策を強化している。
県警高速隊によると、逆走事案は県内の広い範囲で発生している。逆走車を確保した例は23、24年に5件ずつで、20年は4件、21年は1件、22年は3件あった。5年間の計18件のうち、13件は65歳以上の高齢ドライバーだった。
18件のうち人身事故は1件で、20年、常磐自動車道で逆走した車が対向車2台と衝突し3人が負傷した。県内での死亡事故は18年に常陸太田市内の常磐道で、逆走しトラックと衝突した乗用車の運転手が亡くなったのを最後に発生していない。
■故意の事案も
逆走の主な理由の一つは、高速道の出口などでの誤進入。目的のインターチェンジ(IC)を通過後に本線上をUターンし、本来降りる予定だったランプ(ICへの連結道路)へ戻るといった故意の逆走もある。
今年に入ってからも5月末時点で3件の逆走が確認されている。常磐道桜土浦IC付近では2月、料金所でUターンした車両が逆走。北関東自動車道でも、料金所に逆走してきた車があったほか、路上に進行方向とは逆向きに車両が放置される例もあった。
■平面構造なし
逆走事故を巡っては、栃木県の東北自動車道で今年4月、逆走した乗用車が複数の車と衝突するなどして3人が死亡した。本線に向かう車線と本線から降りる車線が重なる「平面交差」のICで進行方向を誤った可能性が高いとされているが、県内に同様の平面構造のICはない。
同隊によると、逆走事案は長期的には減少傾向にあるが、全国の高速道では毎年200件前後の発生がある。逆走者は追い越し車線を走行する傾向があるといい、通報を受けると情報板などですぐに周知する仕組みのため「発見した場合は直ちに通報してほしい」としている。
■有効対策探る
逆走が相次ぐ中、国や高速道路各社は新たな対策に乗り出している。
16年に始まった新たな対策技術の公募を巡り、ネクスコ東日本はこれまで、逆走車両に注意喚起する路面標示、合流地点のラバーポールに順走方向を示す表示を施したカバーを装着するなど、視覚的な対策を実施。一定の効果が得られたとしている。
一方、国土交通省は今年6月、特に危険性が高いICやパーキングエリアなど全国189カ所を「重点対策箇所」に選定。視覚的な対策の強化のほか、路面の突起物で逆走者にのみ衝撃を与える物理的な対策などが想定されており、28年度までの完了を目指す。ネクスコ東日本管内は66カ所あるが、県内はなかった。