《みと・まち・情報館便り》福祉に思いはせる場を 高次脳機能障害支援ライブ 茨城・水戸出身 藤井さん熱唱、介護士トーク

高次脳機能障害と向き合う茨城県水戸市出身の藤井ケイイチさん(45)と、同市内の高齢者福祉施設で介護福祉士として働く藤良多さん(39)、2人のシンガー・ソングライターによるトーク&ライブが6月28日、水戸市南町2丁目の水戸証券ビル1階ホールで行われた。藤井さんは、ギターを手に自作の応援ソング5曲を熱唱。その間、後方で見守っていた藤さんは、トークで「福祉とは『安心』だと思う。福祉に思いをはせる、こんな場をもっと、つくっていけたら」と呼びかけた。
イベントは、水戸証券ビル1階の茨城新聞みと・まち・情報館が企画。藤井さんは2016年春、自身初の単独大型ライブ直前に交通事故に遭い、高次脳機能障害と診断された。
トークで、藤井さんは「高次脳機能障害は、『見えない障害』といわれる。事故直後は、自分がシンガー・ソングライターであることも分からず、曲も全部忘れていた。自分の動画投稿サイトを何百回も見返して、覚え直した」と告白した。
自作曲を披露後、藤井さんの演奏を見守った藤さんは「高次脳機能障害の人がギターを弾きながら歌うって、実は難しいこと」と説明。それでも、5曲を歌いきった藤井さんの姿を見て、「元気がもらえた。僕は今、訪問演奏ボランティアを続けている。年間72カ所。やっぱり、福祉の場づくりって、大事だと思う」と訴えた。
17年前、アルバイト先で出会った2人。藤さんは「2人でライブをするという、当時の夢が、きょう、かなった」と喜んだ。「それぞれの道で、一人は高次脳機能障害、一人は介護福祉士となっても、働きながら続けてきた音楽活動。さまざまな支えがあったからと、改めて感じた」と藤さん。
2人は一緒に坂本九さんのヒットソング「明日があるさ」を歌って、イベントを締めくくった。