サクラやモモの木を食い荒らす特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」の被害拡大が茨城県内で続いている。県によると、今年6月以降に下妻市でも同カミキリの死骸が新たに見つかり、県内で同カミキリが確認された自治体はこれまでの5市町から6市町に増えた。中でも古河市ではこの5年間で、同市鴻巣の古河総合公園(古河公方公園)のハナモモやサクラの木500本余りが被害を受けている。

クビアカツヤカミキリは中国などが原産で、樹木に寄生した幼虫が内部を食い荒らす。繁殖力が強く、一度に数百個から千個超の卵を産むとされる。

国内では2012年に愛知県で初確認。茨城県内では19年に古河市で初めて見つかり、その後、つくば、結城、八千代、五霞の計4市町でも確認されていた。

ハナモモの名所として知られる同公園は、調査を始めた20～24年度の5年間で、園内のハナモモやサクラの約4分の1に当たる計528本が被害を受けた。古河市はこのうち338本を伐採。被害が広がらないよう発見した成虫を一つ一つつぶし、樹木内の幼虫が排出する木くず「フロス」を発見し次第、木の周囲を防虫ネットで囲ってきた。今年からは、被害を受けていない木も防虫ネットで囲う対策を行っている。

同市内では、同公園の他、遊歩道「四季の径(みち)」や公園「サンワ設計ネーブルパーク」のサクラなども深刻な被害を受けている。

県は、子どもたちの手を借りてクビアカツヤカミキリを含む外来カミキリを駆除する「いばらきカミキリみっけ隊」の活動に取り組んでいる。県によると「みっけ隊」は本年度、6月末時点で外来カミキリ1214匹を捕殺。前年同時点での捕殺数は574匹で、約2倍に増加した。新たに見つかった下妻市のクビアカツヤカミキリの死骸も「みっけ隊」が発見した。

捕殺数の増加は「みっけ隊」の活動エリアを拡大させたことや、取り組みの周知が進んだ効果も大きいとみられるが、個体数自体が増えている可能性もあるという。県生物多様性センターは「定着すると取り除くのが難しくなる。早期発見、早期対策が重要」としている。