《連載:2025参院選茨城選挙区 候補者走る》(3) 小沼巧氏、上月良祐氏

参院選は終盤戦を迎える。茨城選挙区の候補者を追う。
■小沼巧氏 39 立民・現 希望を持てる社会に
「いってらっしゃい」「気を付けて」
午前7時半ごろ、立憲民主現職の小沼巧氏(39)は水戸市千波町の交差点で、事務所スタッフらと行き交う車に手を振ったり、頭を下げたりした。
同8時過ぎにマイクを握ると、政治を志したきっかけを語りながら、長年続く自民党政治からの転換を訴えた。
午前中は水戸市から笠間市を遊説。同市東平のコンビニ前では、ガソリン暫定税率の廃止や消費税の食料品減税などの物価高対策を中心に、生活者視点の訴えに多くを費やした。
「日々の暮らしに不安がないようにしたい。みんなが幸せになれる、夢と希望を持てる社会をつくる」
演説を終えると聴衆一人一人と握手しながら言葉を交わす。「来てくれてありがとうございます」「力を貸してください」。記念撮影を求められると、気さくに笑顔で応じた。
石岡市に遊説車を走らせ、最後の街頭演説はJR石岡駅東口前。食料安全保障の抜本的な立て直しを掲げ、農家への支援や外国人による農地取得の問題などに取り組む姿勢を強調した。立民県連の青山大人代表や無所属の堂込麻紀子参院議員らとともに、帰宅の途に就く通勤通学客らに支持を訴えた。
激しい選挙戦も残り4日。「これまでの実績と政策、政治への思いを一生懸命訴え続ける」
■上月良祐氏 62 自民・現 農業政策重要性訴え
蒸し暑さに加え、激しい雨が断続的に吹き付けた15日、田畑の広がる県西地域に熱い声が響いた。
「2期12年、徹底的に働いてきた。このまま全力疾走を続けたい」
3選を目指す自民現職の上月良祐氏(62)はこの日の朝、常総市内を出発。農業関連施設や公民館など3市2町を巡った熱い遊説は終日、冷めることがなかった。
午後に坂東市内へ入ると、JAの支店に集まった支持者ら一人一人と握手を交わし、声をかける。応援に駆け付けた大井川和彦知事や加藤明良参院議員らが見守る中、党の農林部会長として、農業政策の重要性を訴えた。
特にコメ価格の安定化では、「大事なのは9月の出来秋」と説明。5キロ当たり3500円が、生産者と消費者の「接点」となる値段だとして、持続可能な生産と市場環境を主張した。
夕方には境町を駆けた。近隣住民や地元議員らが待つ公民館前に到着すると、経済産業副大臣の経験も踏まえた経済政策を強調。訪日客誘客や農産物輸出、アニメをはじめとするコンテンツ産業育成など「日本には海外から『稼ぐ力』が必要」と声を張り上げた。
「混戦模様」となりつつある情勢に、表情を引き締める。「向かい風を乗り越え、皆さんの稼ぎを支えさせて」。演説を終えると、日焼けした顔を少し緩ませ、次の遊説先へ向かった。