河内・刺殺 遺体は住人男性と判明 財布見つからず 深い傷、強い殺意か 茨城県警

茨城県河内町下加納の住宅で身元不明の男性の遺体が見つかった殺人事件で、県警は16日、遺体の身元はこの家に住む無職、男性(73)と判明したと発表した。家の中は物色されたような形跡があり、男性の財布や携帯電話は見つかっていないことから、県警竜ケ崎署捜査本部は強盗の可能性も含め、現場周辺で不審な人物の目撃がなかったか調べている。
捜査本部によると、住宅の窓ガラスが割られた跡はなかったが、室内で引き出しが開いている箇所があった。男性の財布や携帯電話、通帳などが見つかっておらず、所有する乗用車はなくなっていた。当時、玄関が施錠されていたかは分かっていない。
死因は首を刺されたことによる外傷性ショックが疑われ、腹と胸にも計6カ所の刺されたような傷があった。首は動脈が切られ、体には一部内臓まで達する深い傷もあった。捜査本部は、何者かが強い殺意を持って執拗に刺した可能性があるとみている。
男性は1人暮らしで2人の子どもがいる。家を訪ねた知人女性(69)が12日、1階台所で倒れている遺体を見つけた。捜査の結果、男性は1日午後3時ごろに買い物中の姿が目撃されており、これ以降の今月上旬に殺害されたとみられる。
凶器は見つかっておらず、犯人が持ち去った可能性もある。県警は周辺で何らかのトラブルがなかったか、詳しく調べている。男性宅がある住宅団地では5月、窓ガラスが割られ、室内が物色される空き巣被害があったという。
■「気さく」「いい人」近隣住民ショック
茨城県河内町の住宅で見つかった遺体がこの家に住む男性と判明し、近隣住民はショックを隠せない。30代女性は「うちの子どもが生まれたばかりのころから成長を見守ってくれた。まさか事件に巻き込まれているなんて」と肩を落とした。
別の女性(32)は「子どもが公園にいると、熱中症に気を付けてと声をかけてくれた」と話した。80代女性は「いつも近所を自転車で走っていて、気さくにあいさつしてくれた。ご家族を思うと、とても悲しい」と胸の内を語った。
交友があったという80代の男性は「昔、家の壁塗りをしてくれたことがあった。職人気質な男だが、いい人。最近見かけていなかったから心配していた」と悲しげな表情を見せた。近所の男性(59)は「車好きで、車でよく旅行をしていた。遠くまで行くようなタフな人だった」と話した。