参院選茨城選挙区 小沼氏 再選ならず 県政界の歴史的転換点

現新8人が争った参院選茨城選挙区(改選数2)は、自民党現職の上月良祐氏(62)=公明党推薦=がトップで3選を果たした。2議席目には参政党新人の桜井祥子氏(41)が党の勢いを背景に初当選、1995年以降続いてきた自民と旧民主系で分け合ってきた「指定席」の一つを奪取した。立憲民主党現職の小沼巧氏(39)を含め、6人は及ばなかった。
日付が変わる直前の午後11時15分ごろ、水戸市城南の立民現職の小沼氏の事務所。自民党に続き参政党候補の当選確実を知らせる速報がテレビに映し出されると、集まった支持者からの「うそだ」の声とともに静まりかえった。
立民と国民民主党、連合茨城の「2党1団体」が結束して臨んだ選挙戦だったが、全国的に台風の目となった参政の勢いにのまれ、再選を果たせなかった。
同時に、1995年以降から30年にわたり自民と旧民主系で分け合ってきた「指定席」を失い、県政界の歴史的転換点となった。
小沼氏は「多くの皆さまに支えていただき感謝。私の不徳のいたすところで、結果は全て私の責任だ」と頭を下げた。
これまで「無風」とも言われた茨城選挙区が、参政の登場で一変した。
公示直後に小沼氏と参政候補が2議席目を巡って「接戦」と報道各社が伝え、陣営に衝撃が走った。関係者は「参政の勢いが茨城にも来るとは」と驚いた。
危機的状況に党本部から小川淳也幹事長や大串博志選対委員長ら幹部が続々茨城県入り。16日には野田佳彦代表も駆け付け、支持を訴えた。連合茨城も各組織の引き締めを徹底し、票固めを図った。
国民は小沼氏を推薦しなかったが、所属県議や市町村議が、連合茨城の推薦を受ける議員で作る「懇談会」の一員として支援した。
陣営も支援者への呼びかけを徹底。巧みな交流サイト(SNS)戦略で無党派層や若年層に支持を広める参政を念頭に、SNSによる情報発信を強化したが、及ばなかった。
小沼氏を推薦した連合茨城の久保田利克会長は「当選させられず申し訳ない。原因を分析して今後の活動に生かす」、国民県連の浅野哲代表は「2党1団体の体制で6年前の選挙より得票数は伸ばしたが、自民の批判票や既存政党への批判票が新興政党に流れてしまったのでは」と語った。