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つくば・北条 国重文中心に防災計画着手 大学や住民連携 課題、地図で可視化 茨城

地元住民から話を聞く工学院大の村上正浩教授ら=つくば市北条
地元住民から話を聞く工学院大の村上正浩教授ら=つくば市北条


茨城県つくば市北条の国指定重要文化財「旧矢中家住宅(矢中の杜(もり))」を中心として、地域の防災計画を作成する取り組みが始まった。工学院大(東京)や地域住民、管理団体が連携。歴史的風情を残す北条地区の街並みを調査し、内水氾濫する場所や防火水槽の位置などを地図に落とし込み、課題を可視化する。文化財を災害から守る地域の仕組みを構築する狙いがある。

同住宅は、同所出身の実業家、矢中龍次郎(1878~1965年)が昭和初期に建てた邸宅。建物は個人所有で、筑波大生や地域住民で構成するNPO法人「〝矢中の杜〟の守り人」が管理を担う。2023年に国の重要文化財に指定されたことを契機に、今年7月から自動火災報知器などの防火設備導入工事に着手するなど災害に備えている。

同地区は同住宅の他、国登録有形文化財の建物4件があり、歴史的な街並みが残る。12年には国内観測史上最大級の竜巻で大きな被害を受け、同住宅が被災者の支援活動拠点の一つとして機能した経緯もある。一方、被災から13年が経過し、記憶の継承や、地域で文化財を守る防災体制づくりが課題となってきた。

今回の計画には、同NPO法人が中心となり、工学院大防災・減災教育センター所長の村上正浩教授らが協力。同住宅や北条商店街がある県道沿い約1.5キロを対象に、自然環境や歴史建造物の位置などを調査する。第1弾として、火災や水害などに備え、住民から聞き取った困り事や、消火栓や井戸、防火水槽の位置などについて落とし込んだ地図を本年度中に作成する。その後、課題などを踏まえて防災計画を考える。

今月13日、村上教授や学生、地域住民ら計11人が現地調査を行った。北条地区を歩いて写真を撮り、住民から聞き取りを行った。

参加した地元住民で、北条街づくり振興会長の坂入英幸さん(75)は「防災の仕組みをつくり、地域の人にも広めていきたい」と話した。村上教授は「矢中の杜を災害時の拠点にするなど、守ってもらうだけでなく地域に還元できる仕組みにできれば」と意欲を表した。



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