《ROOTS 茨城人》上月財団常務理事 村田哲也さん(41) 古河市出身 時代が求める支援を

今年4月、上月財団の常務理事に就任した。「その時代ごとに必要とされる支援を行い、困っている人を助けたい。世の中に必要とされる財団であり続けたい」。2001年春、常総学院高の野球部主将として茨城県勢史上初の選抜大会優勝を果たした。故・木内幸男監督の教えを胸に、社会貢献事業にまい進する。
財団はコナミグループ創業者の上月景正氏が「日本の将来は教育にあり」を理念に、1982年設立。教育や文化、スポーツ、クリエーターなどの分野で、将来を担う若者への助成事業を行う。
助成件数は8500件を超える。スポーツは卓球の早田ひな選手やスポーツクライミングの森秋彩選手(同県つくば市出身)らを、クリエーターは「神さまの言うとおり」作者・藤村緋二さんらの活動を支援してきた。
財団は各事業の予算作成や選考委員会の運営、新規事業の立案などを行う。常務理事はそれら全体の責任者だ。多くの事業が同時に進行し多忙を極めるが、支援した人たちから「おかげさまで今、活躍できています」と感謝されることが励みだ。
全体を統括する立場で心がけるのは、恩師から学んだ言葉の〝マジック〟。木内監督は選手の個性を見極めた上で、やる気を引き出す言葉を使った。「言い方一つで物事は180度変わる」。財団全体に一体感が生まれるよう、部下にかける言葉やタイミングに気を配る。
財団は、以前に遺児奨学事業を行うなど、子ども・教育分野に力を入れてきた。「本当に困っている人に行き届くような支援に、柔軟に取り組んでいきたい」。財団をまとめ、原点の理念を体現する。
■むらた・てつや
1983年10月18日生まれ、茨城県古河市出身。常総学院高時代に野球部に所属し、2001年春の全国高校野球選抜大会で優勝。部として県民栄誉賞を受賞した。06年、上月財団に入局。副理事長秘書や評議員などを経て、事務局長兼常務理事。