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キルギス聴覚障害者支援 筑波技術大とJICA 社会参加の環境整備へ

キルギスで研修希望者と面談する大杉豊教授(右奥、筑波技術大提供)
キルギスで研修希望者と面談する大杉豊教授(右奥、筑波技術大提供)


筑波技術大と国際協力機構筑波センター(JICA筑波)は本年度、キルギスの聴覚障害者の社会参画の促進に向け、次世代リーダー育成事業を開始した。JICAの草の根技術協力事業の一環で、同大の大杉豊教授が中心となり取り組む。同国は聴覚障害者の社会参加の環境整備が課題となっているため、現地の当事者らがコミュニケーション技術を獲得し、政策提言などができるよう支援する。

同事業は今年4月から始まり、2027年4月までの2年間を予定。同国視聴覚障害者協会に登録する障害者会員を対象に、面接などを経て選抜し、研修する。参加者は25人程度となる見込み。

研修は、聴覚障害者と視覚障害者のための大学である同大の強みを生かす。世界共通の手話言語「国際手話」によるコミュニケーション▽自分の生い立ちを振り返ることで困りごとなどを洗い出す「自分史」の作成▽日本やアジアの聴覚障害者を取り巻く社会情勢の歴史-など、オンラインを軸に月2、3回行う。

26年6月には成績優秀者4、5人が約2週間日本に滞在。茨城県つくば市の手話講習会や同校の授業などを見学し、聴覚障害者の社会参加について体感してもらう。

同事業は、キルギス出身の元同大大学院生(22年修了)、ボロトベック・クズ・サイカルさんが、同国の聴覚障害者の支援事業を実施したいと発案したことがきっかけ。21年、サイカルさんと聴覚障害者でもある大杉教授がJICA筑波に相談に訪れ、今回実現した。研修の中心は大杉教授が担い、サイカルさんは現地調整員として参加する。

同国は手話を言語として法的には認めているが、聴覚障害者が社会参加するための制度や組織は社会に実装されていないと大杉教授は指摘。就ける職域も狭く、手話通訳者の数も足りない現状という。

大杉教授は、今回の研修を通じて「社会参加がうまくいかない課題を分析し、発信力を身に付けてもらい、協力者を増やしてほしい」と期待。さらに「最終的には現状を図解する資料などを用意し、(同国)政府と交渉の場を設けて働きかけられると望ましい」と先を見据えた。



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